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第5章 月への道を

タクヤは離婚届を出し家を出たりえと話し合いをしなければならないと思っていた。

自分に愛想を尽かしたのか
子供が父親のユウイチの子供だから罪悪感からなのか
他に理由があるのか分からなかった。

タクヤは、仕事の合間にりえを訪ねてみようと思った。

ユウイチが残したあの家に。

タクヤは仕事を早急に終え、海に向かって車を走らせた。

そして、高台にある海の家に着いた。
月が海の上にポカンと浮いていた。

海面には月明かりが反射しムーンロードが作られていた。

タクヤは海の家のチャイムを鳴らした。
インターホンから声がした。

「パパ？パパだぁ〜」
子供達が騒いでいた。

バタバタと家を走る足音がしてガチャガチャと鍵を開ける音がし、双子が飛び込んできた。

その後ろからりえが来た。

「タクヤくん…」

子供達はタクヤの手を引っ張り、家の中に連れ込もうとしていた。

りえはタクヤを見つめた。

少し会わないだけなのにタクヤは少し痩せたようだった。

「りえ…元気でいた？」
りえはコクンと頷いた。

そして、
「今、お客さんなの…仕事の。で…夕食を…」

りえが言いかけると
「パパも御飯一緒に食べようよ〜。こっちこっち。」

子供達はタクヤを引っ張り家に案内した。

廊下の奥には広いリビングがあり大きな月が見えた。
木を、基調とした家にタクヤは驚いた。
父親の今までのデザインスタイルとは全然違ったからだ。

家に入ると父親に包み込まれたようなそんな感じがした。