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Moon road〜月への道
第5章 月への道を
昼過ぎにスズキツトムが打ち合わせに現れた。

打ち合わせが終わるとまた、りえを口説き始めた。
りえは、申し訳無さそうに、丁重に断った。

が…
ツトムはにこやかに了承したが、りえを口説くのは辞めないと、言った。

「いつか、俺の彼女になって貰えるように…」
そう言って笑った。

りえは、ツトムが居てくれたから、タクヤと分かり合えたし、これからも分かり合う努力をする事を誓えたのだ。

「なんだ?俺は二人をくっつけてしまったのか?」
笑いながら頭を抱えた。

「いつも、本当ありがとうございました。」
りえは深くお辞儀をした。

「よしっ!じゃあデートして。」

「えっ?あの…」

「冗談だよ。でもこれからも、りえちゃんのすきを狙うよ。俺。」

りえは再度困惑していた。

「すきあり!」
ツトムはりえを抱き締めた。

「本当に好きになってしまったんだよ。りえを…」

りえから離れると頭をポンポンとし

「じゃ、また。」

ツトムは背中を向け、手を挙げて玄関を出た。


庭で子供たちと遊んでいたタクヤを見つけると
タクヤの傍に行き

「少しでも目を離したら、俺がさらうぞ。」
と、挑発的な目でタクヤに言った。

タクヤは笑いながら
「大丈夫さ。目は離しても手は離さないから。伊達にいろいろあった訳では無いから…」

りえがいる家を見ながらタクヤは答えた。

「じゃあ。」
タクヤの背中をポンポンと軽く叩きツトムはスポーツカーに乗り帰って行った。

「そう…りえとはいろいろあった。いろいろあったから、今こうして幸せでいられているんだ。」

タクヤは再び子供たちと遊びだした。



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