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NEXT 【完結】
第76章 いざ、イタリアへ
内容を確認すると、それは数時間前に羚汰から送られていたもので。
稜がまだ機内に居た頃、受け取っていないものだった。

『気を付けてねー。ロビーに迎えに行くから』

などという、前日にも会話した内容と、テンションの高いラインのスタンプたちだった。


さっき汗が引いたと思ったのに、また一気に冷や汗が噴き出る。


とりあえず、無事に着いてロビーで待っていることを伝えるLINEを送る。


何かあったんだろうか。

ただの遅刻だといいのだけれど。


キョロキョロと周りを見渡すと、さっきまでわんさか居た人たちが居なくなっていて。
もちろん日本人の姿はどこにもなく、イタリア人か、どこからの外国人がぽろぽろ残っている程度になっている。

ぽつんと残された感が急に稜を襲う。


座ろう。どこかに座って待とう。

きっと羚汰は、電車に乗り遅れたとかそんなカンジで。
もうすぐ走って迎えに来る。


そう言い聞かせて、比較的見通しのいい所に椅子を見つけ座る。

スマホを何度も確認するが、羚汰から連絡はない。


ダメ元で、LINE通話をかけてみるが、やはり返答はない。


まだ空港の中で外を見ていないが、時折聞こえている言葉が明らかに英語ではなくイタリアに来たんだと実感する。


羚汰は今頃どうしているだろう。

大急ぎで、走っているだろうか。

乗り過ごして一本遅れた電車にでも乗って、イライラしながら立っているだろうか。

それとも、電車で寝過ごしてしまって違う地に降り立っているのだろうか。

まさかどこかで迷子になっていることはナイだろう。


まさか、事故とかじゃないよね??


考えないようにと思いつつも悪い方向に、想像がいってしまう。


慌ててその考えを打ち消す。


スマホの画面を見ては周りを見渡すことを繰り返す。

すごく時間が経っている気がしたが、スマホの電源を入れてから30分ほどだ。



スマホを気にし過ぎなのかもしれない。

片手にスーツケース、もう片手にスマホ握りしめたまま、椅子に座り直し。

軽く目を閉じる。


こうしてたら、きっと羚汰が声を掛けてくれる。


慌てた様子で、謝りながら。。。



自分の心臓の音を聞きながら、羚汰の無事を祈る。





「...リョウ?」





聞こえてきたのは、不安そうな声だった。
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