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第76章 いざ、イタリアへ
階段を半分ほど降りた時に、パンの美味しそうな匂いがしてきた。
焼きたての幸せそうで、甘そうな匂い。

1階は、壁はあるもののドアがない部屋になっていて。
玄関から階段、居間そしてその向こうにはおそらくダイニング。そしてキッチンーと、筒抜けだ。
そのエリアに人が沢山見える。
あらゆる年代のいろんな人ががやがやと、居間でくつろいだり笑ったり。

羚汰の姿を探そうにも、人が多そうだ。
パッと見、10人ぐらいだろうか。

そのうちの1人が、双子にまとわりつかれて報告を受けたのか、稜に気がついた。

瞬く間にその場にいた人たちが稜に気づき、ほぼ同時と言っていいほど挨拶をして話しかけてくる。

その迫力に驚いてしまう。

「ぼ、ボンジョールノ...」

なんとか挨拶をすると、わっと歓声が起きた。

それからまた、おそらく質問攻めされているのだろう。
しかし、きっとイタリア語が堪能でも聞き取れないぐらい、皆に話しかけられて、その迫力に圧倒される。

昨日はクラウディアさんしか居なかったと思ったこの家に、どうしてこんなに人が居るのか。
キョロキョロしても、羚汰どころか、アレックスも見当たらない。

そんな稜を皆はぐいぐいと引っ張って、居間を通り抜け、ダイニングテーブルのあたりまで進む。
ぞろぞろと5人ほどで大移動だ。

誰かが、奥のキッチンにそれまで以上に大きな声をかける。

その中に、なんとか羚汰の姿を見つけた。

「稜!!」

羚汰も同じように稜に気づいたらしい。

「羚汰!」

「おはよ!昨日はごめんね。ってか、ちょっとまって...」

羚汰は、何やらオレンジを片手に、絞り機のようなものでオレンジジュースを作っていたようだ。
それを放り投げて、タオルで急ぎ手を拭いている。

稜は、その羚汰の元へ飛び込んだ。
後ろのキッチン台に羚汰がぶつかった気がするが気にしない。

「うおっ」

羚汰の驚きと共に、周りから歓声が起こる。

ぎゅっと羚汰を抱きしめると、あの匂いがする。
しぼっていたオレンジの匂いも。

爽やかで、懐かしくて、愛おしい匂い。

「迎えに行けなくてごめんね」

羚汰の柔らかな声が耳元でして、頭が撫でられる。

「...寂しかった」

そっと体が離れ羚汰の手が、稜の頬を撫でる。
そのままいつものように唇を撫でる。

ほぅ、と開いた口を羚汰の唇が覆った。
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