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第77章 異国の地
店の奥からは驚いた声がいくつもして、羚汰が軽く手を振る。
奥の店員さんたちは、流石に忙しくて出てこれないのだろう。

何かをもらって店先の人だかりから出た。

「何何??」

「これ?順番待ちのチケット」

羚汰の手の中には、番号の書いた紙があった。

「なんだー。渡し方が怪しくて。何か変なもの受け取ったのかと」

「あはは。怪しいって何だとおもったの」

知り合いの店なのに、しかもちゃんと並ぶんだ。
すごい人だかりでこれからどのぐらい並ぶのだろうか。

「店が長ぼそいし、2階もあるし。持ち帰りの人も多いから。結構すぐ呼ばれるよ」

羚汰の言う通り、15分も待たないうちに呼ばれて席に通された。

店内で、何人かの店員さんがやって来ては羚汰に話しかけ、ハグしていく。
今度は、その度に、稜も紹介してくれて。
皆驚いて喜んで、稜にもハグをして笑って去ってゆく。
入れ替わりやって来て、その度に立ったり座ったりと落ち着いていられない。
そうしていると、もうピザが運ばれてきた。

いつ注文したのか、さっぱりわからない。
かなり大きなピザがどーんと机の上に並ぶから、小さなテーブルはもうピザでいっぱいだ。

「あはは。まあ、食べて。美味しいから!」

アツアツのピザをフォークとナイフでいただく。
気取ってそうしているのではなく、生地が柔らかい上に薄くて手で持てないのだ。

「ん!!!美味しいっ!!!」

薄いけどもちもちっとした生地と、酸味の効いたトマトソース、濃厚なモッツァレラチーズが最高にマッチしている。
オリーブオイルの香りも相まって、最高に美味しい。

「でしょ!」

食べきれないだろうと思っていた大きなピザも、あっという間に2人で平らげた。

30分もしないうちに食べきって。
あの人だかりでも、早く回転するはずだと納得だ。

「稜、奥に挨拶行くよ」

また手を引っ張られて奥の店長なのか、一番年配で恰幅があるらしき人のところへ。
3つもある釜の前で数人で仕事されていて、羚汰に挨拶に来れなかったのだろう。
またハグして、稜を紹介してくれている。

笑って羚汰をバンバン叩いて、何やら2人でまた笑っている。

よっぽど何かを言いたかったのか、稜にイタリア語で話しかけてきて。
笑いながら羚汰が訳す。

「稜のこと、可愛いって。俺には勿体ないから、自分と付き合わないかってさ」
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