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第77章 異国の地
「リョウ!...リョウァアアア!!!」

「ちょっとアレックス!!!」

被せるようにアレックスの名前を呼ぶ。

確かに聞こえたことは、申し訳なかった。
だけど、その事をクラウディアに言いつけるとか...。
しかも、再現までして。

稜が大きな声を出したのを見て、アレックスもクラウディアもが驚いている。

一瞬驚いてから、クラウディアもアレックスを怒り出した。

稜も、日本語のままアレックスに抗議する。

「アレックスには、デリカシーとか恥じらいとかってものないの?言いつけるとか最低!お世話になったし、羚汰の友だちだろうけど、本当ひどい!」

日本語とイタリア語で同時に説教されて、アレックスも流石にタジタジだ。

「何、どしたの?アレックスが何したって??」

騒ぎが聞こえたのか羚汰が、階段を駆け下りてきた。

「羚汰...」

なんと言って説明したらいいのか分からず固まってしまう。

恐らく羚汰はイタリア語でも同じことを聞いたのだろう。

アレックスが拗ねたように何やら話して、それについて羚汰も話し出した。

稜の手を握って体を引き寄せる。
稜は、そんな羚汰の体に隠れるように背中に張り付いた。

冷静に話していた羚汰だったが、会話していくうちに段々言葉に怒ったようなものを感じるのは稜の気のせいだろうか。

アレックスが逆ギレし出し、腰にバスタオルという格好のまま、庭のほうへぷいっと出ていった。

「え、何って言ったの?」

「ごめん...。アレックスが変なこと言ったみたいだね」

羚汰の腕が伸びてきて、その胸の中に抱きしめられる。

「変なことっていうかー」

「うん。それも、ごめん。カラダ、大丈夫?」

髪を梳くように頭を撫でられて、耳にキスが落とされる。

羚汰に抱きつきながら、首を縦にふる。
少し体はきつい。でも、ついさっきまで怒りで忘れていたぐらいだ。

クラウディアも、イタリア語で気遣うような言葉を掛けてくれる。

二言三言イタリア語で何か言い出し、恐らく日本語でも同じことを言う。

「俺、アレックスと話してきてい?」

羚汰に抱きしめられ、頭を撫でられて、すっかり落ち着いた。

「うん...」

「拗ねてんだよ。俺らが仲良過ぎるから」

少し体を離して稜の顔を覗き込み、頬をいつもの様に指の背で優しく撫でる。

「話してくるね」
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