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NEXT 【完結】
第77章 異国の地
悔しい。
今まで、日本でもイギリス、イタリアでも。
羚汰と関係を持ったであろう、数十人?いや、数百人が。

いつの間にか跪いた羚汰が、稜を見上げる。

「もう今は、ってか、これからずっと、は、1人だけだから」

ぎゅううっと手が握られる。

羚汰を見ると、稜以上に眉間にシワを寄せ苦しそうな表情だ。

過去にこだわっていても仕方ない。
今の羚汰が好きなのだ。
過去をすべて通過してきた。今現在の。

「...うん」

真っ黒だった髪の毛が、イタリアの光や風で色落ちしたのか少し明るくなっている。
起きたばかりで、もしゃもしゃっともしている。

その頭に空いている手を伸ばす。

羚汰が近づいて、跪いたまま稜の体に抱きつく。

「...稜」

「何?」

お腹のあたりに顔を押し付けていた羚汰が、その場所で顔を上げる。

いつもとは逆に、稜がまだ不安そうなその顔を撫でる。

「今日からもう、ホテルに泊まろっか」

当初の予定が変更になってから。
まだもう一泊、クラウディアさんのお家にお世話になろうと思っていた。

「うん。そのほうがいいと思う」

明日は以前から計画していた、予約が取りにく少ししリッチなホテル。
だから、今日はそんな所は無理だろうけど。

そう説明しながら立ち上がり、羚汰がたぐり寄せて稜のすぐ近くに置いた椅子に座り直す。

「いいよ。羚汰に任せる」

「ありがと」

なんだかまだぎこちなく、見つめあったままそう言葉を交わしていると、クラウディアがお皿を持って返って来た。
後ろにアレックスを連れて。

ただならぬ空気になった室内の様子に、クラウディアが驚いている。

羚汰は立ち上がり、恐らく今日からホテルに泊まることに決めたことを報告している。

「ノ!ノ、ノ!ノ!」

さっきアレックスを怒った時より、クラウディアが大きな声を出して羚汰に近づき、何やらまくし立てている。

驚いて羚汰とクラウディアの顔を見比べてしまう。

何がどうなったのか、羚汰が怒られているようだ。

苦笑した羚汰が、稜に伝えてきた。

「今日も、ここに泊まれって。アレックスは帰らせるし。文句は言わせない。今晩、俺ら2人と食事するのを楽しみにしているー、らしい」

昨日は昼も夜も人が沢山来て、それはそれで楽しかったのだが、クラウディアとはあまり話せなかった。
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