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第79章 魅惑の島
「でも...」

それでも。やっぱり値段が気になって。

そうすると、羚汰が少しむっとした顔をする。

「この話は日本で散々したと思うんだけど」

稜が払ったのは、往復の自分の飛行機代だけだ。
ホテル代の足しにと、少し多めに渡そうとすると、羚汰は頑なに拒んだ。

羚汰としては、全額出すつもりでいたのだから。

何日かそのことで、喧嘩とまではいかなかったが、話し合いになって。

泊まるのは格安ホテルで。
しかも、旅の後半は、アレックスの祖母クラウディアのところに泊まるから。

羚汰にそう言われてで、なんとなく決着が着いていた。

稜としては、今日泊まるホテルのクラスの宿泊は聞いてない。
だから、どのくらいなのかが気になった。

「だって」

「だーかーら!そんな顔やめてって」

繋いでないほうの手で、口の両側を押す様に掴まれて顔をあげられる。

「ふぇ」

「そんな顔を見たいんじゃないし」

掴んだままで、稜の口が変形したままだ。

「しょ、んなあおっへ...」

「稜に喜んでもらいたいんだって」

そう言う羚汰の顔も、ついさっきまでの笑顔が消えて眉間にシワが入っている。

確かに、せっかくの旅行なのに。
素敵な町並みの中で、つまらない言い合いはしたくない。

顔にある羚汰の指を掴んで顔の自由を得る。
ここは稜から謝るべきだろうか。

「ごめんなさ...」

「ダメ。そんなんじゃ」

謝りかけた稜の言葉を、強く遮った。

確かに、あまり心が篭ったセリフではなかったかもしれない。

謝罪をやり直せと遮るほど怒られるは初めてだ。
俯いたまま泣きそうになる稜に、羚汰が追い討ちをかける。

「もっと『ごめんね』って心を込めて、えっろいチューしてくれないと認めません」

言葉はまだピリリとしたままだったので、内容とそぐわず。
一瞬止まって、それから顔を上げて羚汰を見つめる。

いつの間にか腰を抱かれていて、至近距離にイジワルそうな笑顔もやってきていた。

「ほら、待ってんだけど」

「え。...え?」

車の通れないような路地に入っているとはいえ、人気の観光地。
さっきから、観光客とパラパラとではあったがすれ違っている。

「...ここで?」

「ここで」

有無を言わせない羚汰の顔に、稜も観念する。
きっと本当にキスをするまで離してくれそうにない。
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