この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
NEXT 【完結】
第80章 promessa
「...ちょっと冷えてきたことね?」

確かに羚汰は素肌に薄いシャツ1枚で、温暖な南イタリアとはいえ海風が届く夜には寒いかもしれない。
稜もワンピースなのだが、ワインで酔っているからかそほど寒くはない。

「そう?」

「そっち行っていい?」

首を傾げている稜の返事を待つまもなく、セリフと同時に羚汰が立ち上がる。

「え?ええ??」

手を繋いだまま羚汰が近づき、稜を一旦立ち上がらせる。

「何?え?ちょっと??」

「はい。どーぞ」

羚汰がさっきまで稜が座っていた椅子にするりと座り、自分の膝を叩く。

「えっ?嘘でしょ。だってー」

周りを見ると、暗くてよく見えないが、ほとんどのテーブルはもう空いていて。
残りの数組は、椅子を移動させ寄り添ったり。
同じように膝に座ったりしているカップルもいる。

「ほら。誰も気にしてないから」

確かにこちらを気にしてる人はいない。
稜は、おずおずと羚汰の膝の上に座った。

さほど広くない椅子の上だ。
横向きに膝の上に座ると、いつものように羚汰が抱きしめる。

「あったかーい」

ほっとするように羚汰が笑って、稜の体に顔をすり寄せる。
そんな羚汰が可愛くて、稜も手を回して羚汰を抱きしめた。

「ふふふ。でも、恥ずかしい。寒いなら部屋に行こうよ」

「ヤダ。...だってまだティラミス食べてないし」

そうだった。
一気に食べるのが勿体なくてまだ半分も食べてない。

テーブルを見ると、羚汰は1口ぐらいしか食べてない。

「食べさせて。あーーん」

そう言って大きな口を開ける羚汰に、自分のティラミスを掬って口に運ぶ。

柔らかいティラミスは、運ぶのが難しい。
スプーンよりはみ出すほど大きなティラミスが、落ちそうになるのを慌てて口を開けた羚汰が迎えに来てパクリと食らいついた。

「ん!」

「ふふふ」

「はい。じゃ、稜もー」

稜からスプーンを取り上げ、羚汰も手を伸ばしてティラミスを掬う。

「え、私は自分で食べるし」

「ほら、もう取ったよ。あ、落ちちゃうー」

羚汰が楽しそうに芝居を売っているのはわかったが、仕方なく煽られるままスプーンを口にする。

「もー」

「あはは。ココア付いてる」

羚汰がスプーンを置いて、稜の唇のあたりについたココアを拭う。

いつものように親指が、そっと唇に触れて移動する。
/1240ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ