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NEXT 【完結】
第80章 promessa
羚汰の顔が近付いて来て顔を背けようとするも、それを察してか素早く唇が重なる。

「ちょっ!」

「大丈夫。見てないって」

次のキスがやってきそうで、今度こそ顔を背けると、暗くてよく見えないが向こうのカップルはディープなキスをしているところだった。
暗闇に浮かぶそのシルエットは、絵葉書か何かのようで全くいやらしさがない。

「ほら」

背けた稜の頬にキスを落としていた羚汰もそれに気付いて、笑っている。

「ね」

膝の上に座らされた時から、こうなることは何となく分かっていた。

「...キスだけよ?」

「もちろん!え、ドコまでするつもりだった??」

嬉しそうな羚汰の顔がまた近づいて、ちゅっと短く唇の音がする。

まだ少し恥ずかしいけど、羚汰の唇が愛おしくて。
稜もその唇を見つめる。

「キスだけね」

「ん」

稜からその唇に、自らの唇を押し当てる。
さっきよりちょっとだけ長めに。

「嬉しいな」

「何?」

「もっかいして」

より一層嬉しそうな羚汰が、目を閉じて唇を差し出す。

稜はその顔を両側から抱えるようにして、もう1度重ねる。

互いの唇を少しだけ吸って離れる。

「ヤバい。すげー幸せかも」

気持ちよさそうに目を閉じたまま、羚汰が独り言のようにつぶやく。

「かも??」

若者特有の言い回しだろうか。
なんだか可笑しくて稜も笑ってしまう。

「稜。好きだよ」

言葉と同時に唇がまた近づいて、何か言葉を返す前に重なる。
少しだけ唇が開いて。
だけど舌は触れない焦れったいキスが交わされる。

「んっ。私も...」

「私も?」

上目遣いの羚汰が、稜の顔にかかった髪をそっとなで上げる。
その瞳がしぐさが、ぞくぞくするほど色っぽい。

「好き」

なんとかそう言うと、吸いこまれるように稜からも顔を近づけて、唇を交わしそっと舌が触れる。

深く絡まりたいと思った稜とは逆に、羚汰がまた離れてゆく。

思わず稜がその唇を追いかける。

「稜」

ふっと笑って羚汰が、諌めるように軽く短く重ねる。

そーじゃなくて。

稜は思い切って、また羚汰の顔を掴んで自分から唇を近づける。

その唇が触れる寸前に羚汰が言葉を発した。

「結婚しよ」



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