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NEXT 【完結】
第81章 ばたばた観光
本来ならゆっくりこの辺りも観光する予定だったのだが、旅の序盤で予定が狂ってしまった。

思いの外、イタリア南地域で長居をする事となり。
最初に予定していた、首都観光が全く出来ていないのだ。

時折街並みに感動しながらも、駅に急ぐ。

石畳や階段が多く、スーツケースに苦労しながらなんとか駅にたどり着く。

無事にチケットも買えた。
行き先は勿論、ややこしいチケットの購入も、すべて羚汰に任せたので、よく分からずしまいだ。

なんとか座ることが出来てやれやれだ。

「はいお水。ガス入りしかなかったけどー」

イタリアでミネラルウォーターといえば、ガス入りといって炭酸が入っている。
日本も最近は炭酸入りミネラルウォーターも出てきてはいるが、稜は慣れている炭酸無しのほうがやはり飲みやすい。
イタリアでは炭酸の無いミネラルウォーターのほうが数が少なく。そもそも置いていない店が、地方には多いぐらいだ。

「いいよ。ありがと」

羚汰も、味の無い炭酸を初めて飲んだ時は驚きと同時に不味いとさえ思った。
が、今では日本ももっと取り寄せればいいのにとすっかり慣れてしまった。

半分ほど一気に飲んで、聞きたかったことを聞く。

「落ち着いたよ。話して」

同じく水を飲んでいた羚汰が、吹き出しそうになるのを堪えて飲み込む。
口の周りを拭いながら、苦笑いしている。

ケシカケられた、だなんて。
素敵なプロポーズだと思っていたのに、そのたった一つの言葉が、考えれば考えるだけ悲しく思えて来る。

指輪が高価なものであっても許される言葉じゃない。
ましてや、もらったものでプロポーズを済ませた、と思っているとしたら、悲しさより腹立たしさがこみ上げる。

そんな様子に、羚汰も危機感を感じたらしい。
神妙に椅子に座り直した。

「はい...」

「...ケシカケられたって、どういうこと」

流れる景色を見ながら冷静に聞き返したつもりだが、発した言葉には思いっきりトゲが含まれていた。

でもいいんだ。
そのぐらい聞く権利がある。

「あれは、言葉のアヤっていうかー。ごめん。言葉が悪かった。プロポーズ自体は使いうちにしようと思ってたんだ。でもそれは、就職決まってからと思ってて...」

羚汰の言葉が、稜の体を跳ね返る。

「...ごめん。先に指輪のハナシ、していい?」

かなりの間のあとで、小さく頷く。
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