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NEXT 【完結】
第81章 ばたばた観光
今から半世紀近い前、まだクラウディアが若かった頃。
とある夏のシーズンに、兄の友達で遊びに来た、パトリックという青年とクラウディアは恋に落ちた。

2人は愛し合い、将来を誓いあった。

しかし、パトリックはイタリアの中部地方の貴族の息子で。
昔から金持ちではあったが、クラウディアは南部の商人の娘だった。

イタリアでは古くから、南部はほかの地域からイタリアの一部として見なされていない。
そこに住む人はまた特に、同じ人種とは思っておらず。
同じ国なのに、別の国ぐらい。それ以上に下とみなした扱いをしていた。

貴族と商人という身分の違いもあって、2人の関係は大反対されてしまう。

首都にある大学にとりあえず帰るパトリック。

それでも、2人は隠れて付き合い。
パトリックの妹が手助けしてくれて、なんとか隠れて文通し遠距離の愛を育んでいた。

その間に大学に通っていたパトリックは、なんとか卒業し。
親の反対を押し切って、半ば勘当される形で就職した。

クラウディアと結婚する為に。
彼は働いて、その権利を得ようとした。

貴族からほぼ無一文となった彼に世間は冷たく。
仕事はキツかった。

クラウディアはそれでも一緒に居たいと思ったが、パトリックは嫌がった。

一度、パトリックの住む場所を訪ねたが、追い返されてしまう。

せめてもう少しマシな暮らしが出来るようになってから迎えに行くー。
それまで、頼むから待っていてくれ。

何年も。何年も、クラウディアは待った。

その間に、クラウディアも何度も親に結婚を勧められた。
クラウディアの親は、パトリックとの事を知りながらも、待っていてもダメだと諭すようになった。
それでもクラウディアは待ち続けた。
パトリックが迎えに来てくれると信じて。

出会ってから9年。
当時の結婚適齢期をゆうに過ぎたクラウディアに、電報が届く。

それは、パトリックの死亡の知らせだった。


急ぎパトリックの実家のある街へ行ったが、着いた頃にはもう葬式も済んでいて。

なんとか電報を出してくれたパトリックの妹と会うことが出来た。

「お兄ちゃん、今年こそこれを持ってプロポーズするんだって」

差し出されたのは、指輪の箱だった。
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