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第81章 ばたばた観光
中に入ると、エスプレッソのいい匂いと、たくさんのお惣菜だろうか食べ物のいい匂いもする。
羚汰の言ったとおり、少しだけある奥のテーブルは半分ほど空いていて座ることが出来た。

「何か食べたいものあった?」

入口から途中まで、ケーキ屋さんみたいなショウウィンドウがあって。
そこにパンやお惣菜みたいなものが並んでいたのがチラリと見えた。
けど人が多くて、じっくりは見えず、選ぶなんて余裕はなかった。

「じゃ、適当に頼んでい?時間ナイからさー」

オーダーを取りに来た店員さんに、早口のイタリア語でいくつか注文して、店員さんが2言ほど返し、消えていった。

「稜、カプチーノしてくれるってさ!」

「え!本当?」

イタリアでは本来ならミルク入りのものは朝にしか出さないが、羚汰がお願いしたら聞き返されたが断りはしなかった。

「このあたりは観光地だから、その辺柔軟になってきてるのかもなー」

すぐ前菜の盛り合わせがやってくる。
平たい皿に3種の前菜がのっていた。
あまりの速さに驚きだ。

「「いただきます」」

お腹すきまくっていたふたりはぺろりと平らげる。
その間にパニーノといわれるチーズやトマトが挟まったイタリアの温かいサンドイッチ。
そして、カルボナーラパスタがやってきた。

「カルボナーラは、このあたりが発祥らしいよ」

「美味しい!チーズが濃厚!!」

何食べても美味しくてイチイチ感動してしまう。

「あはは。よかった」

その2つもペロりと平らげると、デザートがやってくる。

「ホントは選びたいだろうけどー。これがここのオススメなんだ」

置かれたお皿には、カラメルソースのかかったプリンがのっている。
イタリアに来てプリンとは、意外に思えて少し驚いた。
もうひとつはジェラートの盛り合わせのようだ。

「美味しい〜!!」
「ん!うまっ!」

プリンの美味しさに蕩けていると、念願のカプチーノがやってきた。

エスプレッソのいい香りが、あたりを漂って強く鼻を刺激する。

ラテアートみたいなことは一切していない、普通のミルクの泡立った表面だったが、それでも稜には輝いて見えた。

「!!!」

「ははっ、美味しい?」

今まで飲んだ中では1番コーヒーの味が濃く。
エスプレッソを飲んでいる!という感覚が強い。
それでも泡立ったミルクがそのアタリを円やかにしている。
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