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第83章 斎藤家
我が家の倍はあろうかという大きさで、洋風の白い外壁にブルーの屋根。
玄関も重厚で、さっきまで笑っていたのにまた一気に現実に引き戻された。

羚汰は金持ちじゃないって、言ってたけど。
どう見ても普通じゃない。

「ほら」

足が止まっていたが、羚手をつないだままの羚汰に引っ張られるカタチで家の中に。

「ただいまー」

ドタドタ小さな子の足音がして、2人の男の子がやってきた。手にはなんだか強そうで複雑な剣が握られていて、明らかに戦っていたようで、薄ら汗をかいている。

「あ、リョウだぁ〜!」「あー!カノジョつれてるー」

4、5歳ぐらいと、小学生の低学年といったぐらいか。

「うっせ!」

「...こんにちは」

「こんにちはー」

「稜。このうるさいのが、甥っ子の、太郎と次郎」

えっ、そんな今時古風な。
というか、南極の犬みたいな。

「ちがーーーう!!」
「リョウのウソつき!!」

あ、やっぱり。

「じゃ、自分で名前言えるのかー?」

「言えるし」

「おれは!サイトウ ユウマです、5さいです」

「斎藤 誠一です。2年生です」

きりっと立って自己紹介する2人に、稜も自ずと姿勢がピンとなる。

「高崎 稜です。よろしくお願いします」

「リョウ?」
「えー、おんなじなまえなの?」
「うそだー!へんなのー」

ふざけていると思ったのか、きりっとしてた2人がぐにゃぐにゃになって、笑いだす。

「変じゃねぇし!」

そうは言いつつも、靴を脱ぎながら嬉しそうに羚汰が笑っている。
稜も靴を脱いで隅に寄せていると、弟のユウマくんがまとわりついてきた。

「おねえちゃん、ほんとにリョウなの?おんなじなの?」

「そうなの。たまたま偶然同じお名前で、そこから仲良くなったの」

「そっかあー!」

〝おねえちゃん〟と呼ばれた事に嬉しくなってウキウキ答えた。
ユウマくんは、人懐っこく人見知りなんてしないみたいだ。
お兄ちゃんの方は、少し恥ずかしがっているのかクールぶっているのか。

少し落ち着いて玄関を見渡すと、壁紙が見えないぐらい大小の絵がかかっている。
羚汰の父親の描いたものだろう。
額縁も豪勢なせいで、ぶつかり合うように重なった部分もある。

「ユミちゃんは?」

「ユミちゃん、どようびはテニスだよ!」
「もう帰ってくるよ」

「なんだよ。3時には来いって言っといて」
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