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第83章 斎藤家
迫力に圧倒されていると、紅茶を入れながら友世さんが笑って説明してくれる。

「最近ね、ディズニー映画見たの」

その言葉と子どもたちのさっきの機関銃のような説明のいくつかで、やっとつながった。

映画の登場人物の名前と、アリが同じ名前で。
それでプリンスと。

そのプリンスはいつの間にか、行列から戦いに変化して、部屋の隅でやられまくっている。
3人でじゃれあって楽しそうに笑っている。

「なるほど」

羚汰も知らなかったのか、ほぼ同時に頷いている。

「はーい。お紅茶出来たよー。もー、ホコリたつからやめてー」

友世さんの可愛らしい声は、子どもにあまり響いてない。

「どうぞ」

「ありがとうございます」

イレムが差し出してくれたカップを受け取っていると、玄関から声がする。

「ただいまー!!リョウ帰ってるー?」

「あ、ユミちゃんだ!」
「ユミちゃーん!リョウったらねー!」

兄弟は今度はプリンスを放って玄関に走り出す。

ユミちゃん、ということは、羚汰の母親だ。
挨拶しなければ。

テーブルの上がケーキやらフルーツやらお皿でいっぱいで、カップ&ソーサを置く場所に手間取る。
慌てて横にいくつかの皿を動かす。
がちゃがちゃやってると、羚汰の母親が明らかにテニスの格好をして現れた。

「ごめんねー。遅くなってー」

「あ、あのっ、はじめましてっ。高崎稜です」

結局、紅茶の入ったカップをソーサごと持って立ち上がる。
なみなみと入った液体が揺れて指にかかる。

「あっつ!」

高そうなカップを落とすわけにもいかず慌ててると、羚汰が驚いて立ち上がって受け取ってくれた。
他の人たちもそんな様子に驚いている。

「ああ。...危なっ」
「大丈夫?」
「あらあらあらー」
「やけどしなかったー?」

差し出されたティッシュを受け取り手に宛てがう。
火傷するほど熱くはない。

「すいません...」

「そんな、急に立ち上がらなくていいのにー」

羚汰が苦笑いしている。

そんなこと言われてもー。
しかし、初っ端から恥ずかしすぎる。

なんとか服や床にこぼさなかっただけ救いだ。

「一応冷やしたほうがいいわ。リョウ、洗面所案内したげなさい」

サンバイザーを外しながら、羚汰の母親がのぞき込む。

情けなくて涙が出そうだ。

「おいで」

羚汰に手を引かれてリビングを出る。
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