この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
NEXT 【完結】
第85章 母の思い
「それでいて、その顔に嘘がないって」

「...嘘?」

にっこり笑って、間をとる。
そんな所は本当によく似ている。

「貴女、本当に素直なのね。思ってること全部顔に出てるわ〜」

なんだか褒められているというより、馬鹿にされているんではないだろうかと思えてくる。

「本当にあの子が好きなのね〜」

「...はい」

そこは否定したくない。

「でも、表現するのは、私本当に苦手で。羚汰くんのほうがいっぱい、その...表してくれてて」

前カレの時、散々我慢して、自分の気持ちを押し殺して。
もうあんな苦しいのは嫌だと思った。
そんな時に、羚汰が溢れんばかりの愛を表してくれて、その思いに必死で応えたようなものだ。
それでもまだ、羚汰から与えられるもののほうが多い。

毎日羚汰が帰って来る時も、羚汰のあの笑顔に癒されて。
つられて笑顔になって。

お弁当だって、羚汰の喜ぶ姿の為に作ったり。
逆に羚汰が作ってくれることも多いし。
洗濯だってー。

ふふふふ、と笑う声がして、はたと我に返る。

「え、あの」

「いいのいいの。あなた達2人を見てると、私まで嬉しくなって。じーさんや、シュウや知世ちゃんも。あ、もちろんチビたちも。みんなすっごく嬉しいのよ」

そんなふうに思って貰えるなんて。

稜こそ嬉しくなって、言葉に詰まる。

「何やってんの?」

勢いよくドアが開いてびっくりして振り返ると、羚汰が立っていた。

「びっくりしたー」
「リョウくん、驚かさないで」

「驚くのはこっちだよ。ってか、お袋何やってんの。稜をイジメてんじゃないだろうね。って、稜、涙目じゃん」

「違う違う」

涙目だった?そんなつもりはなかったけど。

「あんた本当に変わったわねぇー」

「...お袋。何か台所でお湯がグラグラしてたみたいだけどいいの?」

「あら、嫌だ。もう、早くそれ言ってちょーだい」

羚汰を押しのけるようにして、大慌て台所へ去って行った。

洗面台に広げたままの化粧道具を広い集めていると、羚汰が手伝ってくれる。

「何か変な事言われた?」

「ううん。そんなんじゃないけどー」

さっきの羚汰の母親の話だと。
春休みにイタリアに行く予定だった。
しかも、卒業してからイタリアに住む予定だった。

それは本当だろうか。

「ん?」

わたしのセイで、それらを諦めている?
/1240ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ