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第85章 母の思い
「稜、何そんなに見つめて。ん?キスしたい?」

じっと見ていた羚汰の顔が、不敵な笑みを浮かべてぐんっと近づいてきて、慌てて押しやる。

「違っ。言う、言います」

「はい。よろしい」

両方のほっぺたをふにふにっとつままれる。

「本当は春休みに、イタリア行くつもりだったって、聞いたから...」

「...あー」

その話だとは全く思ってなかったらしく、羚汰の目が一瞬大きくなってから、伏せるように少し下を向いた。

この態度はやっぱり本当なんだ。

ほっぺたにある手を掴んで、つなぐ。

「卒業してからもイタリアで寅さんするって」

「あはは。なんだそれ、炭酸飲料のCMじゃん」

今度は笑い出した。
笑ってごまかす気だろうか。

「羚汰。...私のせい?」

「違うよ」

言い終える前に笑いを素早く収めて羚汰が否定してきた。

「って、春休みのほうは、まあ、そうとも言えるか」

「!...そうなの?」

「純粋に、稜と一緒に居たかったってのが本音。夏にゼミで行くの決まってたし、その時でいーかなって」

稜の右手にある指を、手をつないだままの羚汰がさわっている。

「あとは...まあ。バイトの金貯めてたやつで、この指輪をね、買っちゃって」

「えっ!!」

クリスマスに貰ったリボン型の指輪。
キラキラ光って小さいながらもその存在を主張している。

「ベッドとかも買ったし。春はやっぱ無理かなってなって」

確かに、学生にしては高そうな指輪に、稜も半分近く払ったとは言えダブルベッドやその付属するリネンなど。
多くの出費を春前に行った。

「ごめんね。私、そんな事になってたなんて知らなくて。知ってたらー」

「いいんだよ!俺がそうしたかったの!」

羚汰に引き寄せられ、ぎゅうっと抱きしめられる。

「もー、ほんっと、余計な事言ってー」

「余計な事じゃないよ。羚汰のお母さんは、羚汰のことを気にしてて」

抱えられた中でなんとか声を振り絞る。

卒業後のことも聞いてみようー。

そう思っていると、玄関のあたりで元気な声がして、そのまま洗面所に小さな足の割には大きな音がダッシュしてくる。

「はは。ヤツらが来たな」

「あー!!またラブラブしてる!!」

案の定、2人のチビがやってきた。

「え、おねえちゃん泣いてない?」

「リョウー!なかしたのーー??」

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