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NEXT 【完結】
第85章 母の思い
慌てて涙を拭う。
もうほとんど水分はなかった。
目が赤いのだろうか。

「違うの。ちょっと目が痛くて...」

「泣かしたのはね、ユミちゃんなんだよ」

「ええ!!ユミちゃん??」
「なんでユミちゃんが」

羚汰が違うことを教えだした。

きっと面白がってるんだろうと思ったら、逆に拗ねたような顔をしている。

「え、羚汰?」

「だから、オレはこーやってイイコイイコしてたの」

また羚汰が抱きしめてきて、よしよしといった風に頭を撫で始めた。

「えーーー」「うそだぁ」

「嘘だと思うなら、ユミちゃんに聞いてみたら」

顔を見合わせた2人はバタバタとキッチンのある方向へ走って行った。

「えっ、ちょっと」

「やれやれ」

「...羚汰、もう離して」

やれやれと言う割には一向に緩くならない腕の中で、羚汰から逃れようとする。

「...稜。お袋に何言われたか知らないけど、俺の選択は間違ってないから」

ふいに耳元でする真剣な声に、逃れようとしていたのを忘れる。

「確かに、前まではね。卒業したらイタリアに住むことも考えてた」

「だったら」

「でもそれは逃げてたんだ」

特に何かがやりたい訳ではなく。
イタリアという親の目の届かない所で、自由にしていたかった。
結婚や家庭を持つことに興味もなくて。
バイト自体は楽しいし、楽しい仲間もいる。
その時が凌げて、ある程度遊べるお金があって。
気の向くままに、行きたいところがあれば行く。
それをするなら、堅苦しい日本より、自由で陽気なイタリアがいい。

「今思えば、特にやりたいこともなかった、ってことなんだよね」

でも、稜に出会った。
笑顔が見たくて、一緒に居たくて。
喜ぶ事がしたくて、考えるようになった。

「そういう意味では、確かに、稜のセイ」

「羚汰...」

羚汰と目が合うと、にっこり微笑んでいる。

「だから、ちゃんと責任取ってくれる?」

「...?」

「結婚して、ずっと傍にいて」

強く願うように、頬が指先で撫でられる。



2度目のプロポーズ。


胸にこみ上げて溢れそうな涙のまま、羚汰に抱きついた。

「いる!いるよ!!」

ガンっという音がして、羚汰の体が揺らいだ気がした。

羚汰が笑ってまた頭を撫でている。

「またタックルされたー」

「え、違う」

慌てて顔を上げると、唇が塞がれる。
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