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NEXT 【完結】
第86章 NEXT
「今日はもうスル元気はナイんでしょ?」

手を伸ばして羚汰の前髪を触る。

イタリアの太陽でなのか、暗く染めていた髪がやっぱり明るくなったような気がする。

「くっそー。明日、まためちゃくちゃシてやる」

「いいよ」

心底悔しそうに羚汰が唸って、それが可愛くてつい煽ってしまう。

「...また、そーゆーこと言う〜」

「本当だもん。今日、...ちょっと最後は激しすぎたけど。その...すごく、気持ちよかったし」

ふふっと羚汰が笑って、髪の毛を撫でていた稜の腕を持ち上げてその胸の辺りに潜り込む。

「...俺も」

体を軽く引き寄せられ、稜も羚汰の頭を優しく抱きしめる。

喋る吐息が胸にかかって少しくすぐったい。

胸の上の方ではあったが、軽く唇が押し当てられた。

徐々に手も動き出したが、官能的な動きというより、くすぐるような動きだ。

「ふふっ」

「はい。こう向いて眠れないってわかったでしょ。じゃ、こっち向いて。いつものように眠ってクダサーイ」

ぐるんと向きがいつものように向けられて、抱きしめられる。

「羚汰が起こしてきたんじゃん」

「へーへー。俺が悪いんですよー。いいから、マジ寝るよ」

ベッドに横になるまですこぶる眠かったのが、色々動いたり喋ったりしているうちに、だんだん目が冴えてきていて眠れそうにない。

時差ボケなのだろうか。
今日は朝早くから起きているというのに。

「...ねぇ、羚汰」

「もー。何?」

もう、と怒りつつも、優しく寄り添い首筋にかかる息が優しく、とっても心地いい。

「なんか、目が冴えてきちゃった」

「あはは。俺はいーけど。稜が仕事だって...」

「そうなんだけど!」

体は重だるいし、力は入りそうにない。
だけど、なんだか頭は冴えてしまったのだ。

「少し、話をしよ?」

「...いいよ。このままでいいなら、稜が眠るまで話しよっか」

「うん!...何がいいかな」

そうは言っても、この1週間常に一緒に居て、話題といったら。

「イタリア、すごい楽しかったー」

「そう。よかった」

イタリアに着いたら迎えに来てくれている筈の羚汰に会えず。
クラウディアの所に先に連れていかれるというアクシデントがあったものの。
それすらもいい思い出だ。
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