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第16章 黎明
「綺麗だよ」

そう言われて恥ずかしくなり、腕で隠そうとする。

稜の胸は、さほど大きくもなく小さくもなくすこぶる標準的だ。
稜はこの胸、いや体全体がコンプレックスなのだ。谷間が出来るほど胸があるわけでもないし、かといってスリムでもない。最近スポーツジムに通い始めたといってもまだまだお腹周りはぷよっとしている。
セクシーな体型のリョウとは比べ物にならない。

廊下の明かりが半分ほど開いたドアから差し込むだけの部屋は、その稜の体をすごくエロティックに映す。

「隠さないで」

両手首を捕まれ、頭の横あたりで固定されてしまう。

胸の中心に唇を落とす。

そこから、つつつと舐めながら駆け上がり唇に辿り着く。

「んんっ」

また舌を絡ませる。
何度も稜の舌を求めて絡まる。

キスが離れる度に、何とも言えない色気をたたえたリョウに見つめられ、恥ずかしくて目を逸らそうとする。
その度に、あらゆる角度からやってきて、稜の唇を離さない。

「ん...」

それから、リョウの唇は耳へと進む。
耳の裏に口づけ、耳たぶから上へと全体を舐め回す。

「...んっ」

リョウの吐息と舐め回す音が耳の中で響いて、稜は堪らず声が出る。

またあの匂い。爽やかでいて官能的なあの匂いがする。
あの匂いだけで、頭がより一層クラクラする。

声を出したらいけない。また602号室の人に迷惑かかってしまう。それに自分の声がリョウたちの様に聞こえると思うと恥ずかしい。

声を押さえようと思うと余計に、苦しい吐息となって発せられる。

「んっ...」

リョウの舌がゆっくりと首を伝って鎖骨に下りてくる。
手首を押さえていた両手が、両胸の下から包み込む。
指が軽く食い込むように胸をやさしく揺らす。
稜が触れて欲しいそこには指が当たらないように。

鎖骨から下りてきた舌が、また胸に向かう。

赤くすこし膨れてきているその周りを舌で舐め回す。
唾液をたっぷりと含まして触れる舌で、艶めかしく濡れている。

「んはぁっ...」
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