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第19章 羚汰の部屋
「じゃあ、羚汰が私のこと好きかもって気づいたのはいつ?」

ソファーの上で激しく愛し合った後、服を着てベッドへ戻ってきた。
また羚汰が後ろになって抱き合って横になっている。

稜がシャワーを浴びている間に、シーツが代えられていたらしくとても肌触りがいい。

「教えなーい」

「えー!けちー。私は教えたのに」

「じゃ、当ててみて?」

当てるっていったって、さっぱり見当がつかない。
なにせ、おでんのデートの時に言われて気付いたぐらいだ。

考え込む稜に、羚汰が笑い出す。

「稜、はじめて会ったときのこと、覚えてる?」

「はじめて会ったとき?」

確か、羚汰が洗濯石鹸持って、挨拶にー。

「引っ越してスグじゃなくて、5月ぐらい?に来たよね」

「うん。4月末かなー。下の人にはすぐ会えたんだけど、稜だけなかなか会えなくて」

「メガネかけて、ぼさぼさ頭だったー。今時K大の紙袋持ってたから、どこのイモにーちゃんかと思った」

「ひでぇ!!寝起きだったんだし!なかなか捕まらないから」

稜がくすくす笑う。

「あの時、稜、スゲー泣いてたー」

泣いてた?

「ピンポン押してやっと出てきた稜が、スゲー泣いてて、超焦った」

カイが死にそうになっていた時だ。

稜はようやく思い出す。

3月末〜4月は、実家で飼ってる犬のカイの容態が悪く、医者に余命わずかと告げられて、会社も自宅から通っていた。
出来る限りカイのそばにいたかった。
実家では、悲しみに暮れる両親の尻をたたいて病院通いやお世話をし、たまにマンションに帰ってきてひっそり泣いていた。

あの時ー。あの、泣いていたのを見られた?

「ごめん。何かわかんないけど、思い出させたね」

羚汰が優しく稜の腕を撫でる。

「泣いて目とかもパンパンなんだけど、涙ぼろっぼろ流して、それが何かスッゲー色っぽくて。あの時かな、恋に落ちたの」

「えっ!!」

思わず距離感も忘れて振り返る。

「ぐぇっ」

「あ、ごめん。だって...」

羚汰が脇腹を押さえている。

「肘鉄くらった...」

向き合って、脇腹をさする。

「あは。今度はくすぐったいから!」

「えっ、どーすればいいの?」

2人で顔を寄せあって笑う。



「...春から、ずっと?」

「まだ話すの?恥ずかしいんだけど」

「聞きたい!」
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