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第19章 羚汰の部屋
「まあ、恋に落たってゆってもさ、隣に住む綺麗なOLのお姉さんってカンジで、滅多に会えないし。たまに廊下とかで会っても会釈するだけだし?憧れてた、ってかんじかなー?
そしたら、GW過ぎたあたり、お店に来たでしょ」

5月?まあ、2ヶ月おきぐらいに、ラコルテにはいっているから。5月だったかな?

「“高崎”で予約があったから、もしかしたらーって思ってて。でも先に来たのが、いつもの2人で。違ったかってちょっと残念に思ってたら、稜が来て」

全然覚えてない。

そんな様子を見て、羚汰が笑いながら髪を撫でる。

「遅れてお店に入って来て、俺が気付いて、近づこうとしたら、あの2人が大声で呼んだんだよ。“リョウ”って」

あの2人は声が大きい。
自分もそうだけど。

「その時、名前が一緒だって気付いて、ますます気になって、お店にいる時ずっと見てた。そしたら、廊下で会った時はクールビューティーってカンジなのに、友達の前では表情がコロコロ変わって、笑顔が可愛くて気づいたら見とれてた」

有希子が前から視線を感じてたってー。

「俺、結構熱い視線送ってたのに、ぜーーんぜん気づかないし。こないだ、背のちっこい人が気付いてくれたけど」

え、でもその頃って...。

「何回かお店に来てくれててさ、ピザは俺が運んでたの気づいてた?」

「えっ!?ホントに?」

「やっぱり」

いつも3人で、わいわい話をして、あまり周りは気にしてない。

「2回目ぐらいの時かな。稜に彼氏がいるってハナシの流れで気付いて。...まぁ、いない訳ないだろうと思ってたけどさ」

いつの時だろうか。山本さんに紹介されたあの甥っ子さんのことかな?

「あくまでも憧れだったから、彼氏がいても別に気にならなかったんだ。たまに会えたらラッキーぐらいな。でもきっとこの頃から本気で好きになってきてたんだろーな」

何かと声を掛けてきたのはこのあたりか。
羚汰の魅力に翻弄され吸い込まれて行ったのは稜かもしれない。

「でさ、あの日。彼氏が泊まりに来て、ヤリまくってた時、無性に腹が立って、悔しくて、居てもたってもいられなくて、部屋を飛び出した」

あの日とは、恐らく千夏と貴之くんが部屋に泊まった日だ。
胸が苦しい。

「俺も散々、女の子とヤってたのにね。...聞こえてたんでしょ」
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