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第28章 甘い時間
「んー、どれも美味しいけど。このショートケーキが最高だね!」

「でしょ。クリームもそんなに甘くなくて、丁度いいカンジでしょ~。私もここのショートケーキが一番好き」

「はい。じゃあ、残りちょっとだけど、稜が食べて?」

そう言って、残っていた抹茶のケーキを食べつくす。
他のケーキより少し小さかったフルーツタルトはもうなくなっている。

「えー。食べたいけど、もうお腹いっぱいだよ。羚汰こそどーぞ」

「...じゃあ、あーん」

羚汰が食べさせてと言わんばかりに口を開けている。

稜は、フォークに残りのケーキを乗せて、羚汰の口に入れる。

「んっ。全部?」

最後、大きなイチゴが入った欠片を羚汰が頬張る。

「あはは。大きかったかな~」

案の定、口の端にクリームが溢れる。

「でひゃいって~」

羚汰は口いっぱいのケーキをなんとか飲み込もうとしている。

「うふふ」

羚汰の口の端のクリームを指先で掬い取って、その指のクリームを舐めとる。

「...すっげーエロいんですけど、それ」

「そう?」

稜は、何かを思いついて、カフェラテを飲む。

「ん。じゃ、今度は羚汰がお願い」

そう笑いながら言って、目をつぶって顔を羚汰に突き出すようにする。

そこにはカフェラテの泡だったミルクで出来た、白いヒゲがうっすらついていた。

「うわっ。超ヤバイ」

羚汰の指が、上唇をうっすら撫でる。

ゆっくり上唇を撫でるだけで、その上についているミルクは拭ってくれない。

泡だったミルクが、肌に張り付いて気持ちが悪い。早く拭ってほしいのに。

「もう、りょう...」

目を開けてそう羚汰の名前を呼び終わる前に、羚汰の顔が近づいてきていてミルクを舌で舐めとられた。

一度顔が離れて、目があったと思ったがすぐまた引き寄せられ、唇が重なる。

「んっ...」

予想通りの羚汰の反応に、稜の唇の端が上がる。

「...んふふ」

舌を交わすような軽いキスから、一気に深く絡まり笑っていた稜も余裕がなくなってくる。

ソファーに軽く押し付けられ、行き場をなくなった稜が羚汰の首に腕を回す。

羚汰の舌が、緩急をつけて稜の中を踊る。

「んんっ...はんっ」
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