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第29章 高崎家
地元の駅で電車を降りると、迎えに来ているはずの父親の車が見当たらない。

キョロキョロしていると、クラクションが鳴って、その車の中に、弟:空人(ひろと)が見える。

聞かされていなかったが、空人が迎えに来ることに変更になったのだろう。


「ごめん、父さんが来ると思ってたから」

稜が車に乗り込む。

「ああ。俺が行くって言ったんだ」

「そうなの?珍しいね」

車がすぐに実家に向かって走り出す。

1年ほど前に会った時には、ボロい中古の軽に乗っていた筈だが、国産のミニバンに変わっていた。
ほのかに新車の匂いもする。

「すごいね、車買ったの?」

「うん。新古車だけどね」

元々、稜が18の時に家を出てからあまり話はしなくなったので、仲が悪いわけではないが、会話がはずまず少し気まずい。

なんで空人が迎えに来たのだろう。こんな風に気まずくなりそうだってお互いわかってるのに。

「昨日は私の部屋に寝たんでしょ?2人で眠れた?」

稜の部屋はさして広くない。
ベッドも、幼い時に空人と使っていた二段ベッドを分解して使ってるので、シングルサイズとはいえ、少し小さ目なのだ。

「まあ。俺は、床で寝たから、なんとか」

「そっかー。...珍しいね。泊まりに帰ってくるの、ね」

車で高速道路を利用すれば2時間ほどの隣の県に住んでいるので、たまーに帰って来ても日帰りが多い。
しかも今回はほぼ1年ぶりだ。

そして、その時も空人のみで、奥さんは滅多に顔を出さない。
あまり人付き合いが好きではないようだ。

学生時代から付き合っている2人は、卒業して1年経たないうちに結婚した。
付き合っている間のほうが、こっちに一緒に帰って来ていた。
結婚してから、何かと理由をつけて帰ってこないので、両親は婿にとられたと騒いでいたぐらいだ。


「ああ。理子(りこ)、妊娠したんだ」

「ええっ!!」

稜は、するっと聞かされた事実に驚く。

結婚して3年経っても、音沙汰がなく。
聞いてもはぐらかすばかりで、そちらの話はしてこないので、子供が嫌いな子だったのかしらと母親ががっくりしていたぐらいだ。

「もうすぐ6ヶ月」

「...全然知らなかった」

「うん。ウチの両親にも、昨晩着いた時に教えた」
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