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NEXT 【完結】
第29章 高崎家
「ちょっとね。最初の子が残念なことになって。それからも頑張っても全然出来なくて、ここ1年は病院に通っててさ。なかなかこっちに来れなかったんだ」

結婚してすぐ、妊娠が分かり喜んでいたが、皆に知らせる間もなく悲しい結果になってしまった。
それから2年近く妊娠することが出来ず、1年前から病院に通うようになったらしい。

「理子、ああ見えてすごい子供好きだからさ。ウチの母ちゃんに色々言われるのがツラかったみたいで」

ウチの母親はズケズケ言いがちだ。

それでこっちに帰って来てなかったのか。

「でも、もう5ヶ月過ぎたし、そろそろ大丈夫かなって」

そう語る、空人はとても大人びていて26歳とは思えないオヤジの顔をしていた。

「よかったね!」

「性別もわかってるんだよ。女の子」

生まれてもないのに、鼻の下が伸びっぱなしだ。

「そう!...空人に似たらヒサンだね」

「ちょっとねーちゃん!それは言わないで~」

嬉しそうな弟の顔を見て、稜も嬉しくなる。

「俺もオヤジになるけど、ねーちゃん、おばちゃんだからな!」

「えー!!やだ!おばちゃんって呼ばせないよ?」

「何て呼ばせるんだよ」

「...そっか」


そう笑い合いながら、空人が車を走らせているのだが、さっきから家とは少し違う方向に行っているようだ。

「あ、スーパーに寄って買ってきてくれって言われてる物があるんだ」

「ああ。そうなの」

「それに。...聞きたいことあったし」


「...何?」


稜が身構える。

ああ、それで空人を迎えによこしたんだ。
結婚がどうとか見合いがどうとか、この前から両親からそのテの話が出ると逃げまくってるから。


「ねーちゃん、彼氏出来た?」

「へっ!!」

「んでもって、今朝そいつんトコいた?」

「!!!!」


あまりの驚きに固まっていると、肯定と取った空人が深く頷いてる。


「やっぱりな」


「な、んでっ!!」


稜は動揺が隠せない。



「母ちゃんの前では違うって顔しろよ?」

「へっ?」

「ねーちゃん、昔っから芝居ヘタだからな~」



「...まさか....」


「はっ。その、“まさか”」


稜は顔から火が出るかと思うぐらい赤くなる。
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