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NEXT 【完結】
第29章 高崎家
稜は返す言葉がない。

「こんなの母ちゃん達に、絶対言えない。マジでやめとけって、ねえちゃん」

「...」

「付き合って2週間?別れるなら早いうちがいいと思うけど?」

ここまで否定されると思わなかった。
賛成されるとも思ってなかったが。

空人がドアを開けてスーパーに消えてゆく。
稜は助手席で動けずにいた。

すぐ空人がスーパーの袋を携えて戻ってきて、無言でエンジンをかけ、車を走らせる。

スーパーから自宅まで10数分だが、その時間が稜には倍以上に思えた。

家が見えるような頃になって、空人が重い口を開ける。

「誰にも、理子にも言わないから。ねーちゃんも言うなよ」

「...うん」

「そいつがもし本気だとしても、卒業して医者になるまで6年も7年も、ねーちゃん待てるの?」

「...」

「若い俺たちでも大変だったんだ。ねーちゃんも子ども欲しいなら、悠長に構えてたら大変だよ」

車を庭の空きスペースに止めながら、空人が話し出す。

治療に行っていると、30代半ばの夫婦が1番多いらしい。そして、嬉しい知らせは少ないのだと。

「この話はここまでな。理子が気にするから、あんま触れんなよ」

「...わかった」


玄関を開けると、カイが興奮して飛びついてきた。

「カイ〜!!ただいま!」

ことさら大きな声をして、カイを撫でまわす。

いつもより人が多いからか、カイもテンションが高めだ。


稜の後から空人が入ってくると、空人に対してうなり始めた。

「3世~。ひでぇ。俺だよぉ~」

キャンキャン威嚇し、稜の影に隠れている。

「何、あんた嫌われてるの?」

「どうも3世には嫌われてるんだよ~」

先代カイは、元々空人の犬だった。

名付け親も空人で、自分に『空』という文字が入るからと、犬に『海』と付けた。

そんなカイの子孫かもしれない、3世に嫌われているとあって、空人もショックを受けている。

「カイの死に目に会わなかったから、孫として怒ってんじゃないの?」

先代カイは5月に亡くなった。
その頃、空人は仕事が忙しいとかでほとんど家に帰ってこなかった。
元とはいえ、自分の犬の最後に立ち会わなかったのである。
憔悴しきっている両親に変わって、稜が病院やら介護やら何かと面倒を見て、最後も看取った。
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