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NEXT 【完結】
第29章 高崎家
「だから!その頃はちょうど病院にかかってたんだって!」

「...ああ」

空人が、リビングに聞こえないように小声で話す。

「頼むよ。察してくれよ」

「ごめん。なんかピンと来てなくて」

玄関あがったところで、2人と一匹でぎゃいぎゃい言っていると、母親がリビングから顔を出してきた。

「あんたたち、寒い玄関で何やってんの」

「いや、空人が3世に吠えられちゃってて、それを言ってたとこー」

母親の姿が見えた途端、3世がすっとんで母親にじゃれつく。
やっぱり母親が3世の中で一番らしい。

「そーなのよ!なんでかしらね~」

3人と1匹でリビングに入る。

「おねぇさん、お帰りなさい」

「ただいま〜!理子さん、おめでとう!!」

理子は、大きなお腹をさすりながら、ソファーに座っている。
稜にはよくわからないが、6ヶ月にしては大きなお腹に思える。
横の和室で父親が、にこにこしながら本を読んでいた。

「ありがとうございます!」

久しぶりに会う理子の顔も、すっかり母親らしい。

「はい。買ってきたよ」

「ありがとー!」

空人が買ってきた色々なものを理子に渡している。

袋の中から、沢山あるプチトマトのパックから一つ出して空人に手渡し。
また袋に手を突っ込んで、炭酸水を飲んでいる。

「すいません。やたら炭酸水とトマトが欲しくなるんですよ~」

空人は台所に行ってトマトをざっと洗ってまた理子に手渡していた。

「私は空人の時に、スイカだったわ~。懐かしい。稜の時は、この子春生まれだから冬場に今みたいにスイカがなくって~」

母親の思い出話が始まってしまった。

理子は、にこにこ笑いながら洗われたプチトマトをぱくぱく食べている。

「ねーちゃん、これ見る?」

空人が小さなアルバムを取り出す。

そこには、エコー写真が並んでいた。


「ほら、これ今ね。ここが顔で、これが手」

「うわーっホントだ」

「これ、口がとんがってるだろ。で、こっち引っ込んでる」

「すごい~」

「これは腕で、こっちが足」


みんなでわいわい言ってるとあっという間に、出かけないといけない時間になり。
きゅんきゅん寂しがるカイ3世を置いて、仲良く1台の車でカニ専門店に出かけた。
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