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第32章 ウワサ その2
「大丈夫...」

「そう?ホントに??」


稜は考えるポイントがわからなくなってきた。

貢いだり家政婦まがいのことをする為に付き合っているようには思えない。


貢ぐ彼女が欲しかったら、あんなに必死で毎晩遅くまでバイトはしてないと思うのもある。

お風呂に入ってる間に、シーツ代えたり、朝ご飯作ってくれたりしてくれるし。


「そういうのじゃないと思う」

「そう...」

今一、信じることが出来ないといった雰囲気が電話越しに伝わる。

「でもそれって、まだ付き合って日が浅いからかもよ?私の時だって、はじめは超優しくってー」


千夏が当時の話を思い起こしてなにやら話しているが、稜の耳には入らなくなってきていた。


見た目は確かに、かなり明るい髪の色をしているし、ピアスもいっぱいつけてはいる。

だけど、内面は真面目な性格だと思う。

稜に対してもそんな不純な動機で付き合っているとは思えない。


恋は盲目なだけなのだろうか。


何せ、子どもがいることは隠された、その程度の付き合いな訳なのだから。




「稜?...大丈夫??」

「...うん」

「あー、ごめんね。結婚前なら、すぐにでも稜の所に駆けつけるんだけど、今はちょっとサスガに行けないからさ。電話でごめんね」

「ううん。大丈夫」

「今度の土曜日でよかったら、時間あるから。ちょっと先だけど、その時会って話する?有希子にも声かけてみるから」

「...うん」

「電話でよかったらいつでも相談乗るからね」




その後も、何か色々話しかけられた気がするが、いつの間にか稜は通話を終えたスマホを持ったまま呆然としていた。



確かに、付き合う時に、子どもがいるか、結婚しているか、などという事は聞かなかった。


聞かなかったから、教えてくれなかった?


それとも、話そうとはしているけど、タイミングが悪くって伝えてないだけ?


それとも認知のことは知られたくないから、秘密にするつもりなのか?


でも、大学で写真を見せて回っているぐらいだ。

そんなに秘密にするつもりもないのか...。





頭がクラクラする。



稜は、髪が生乾きなのも厭わず、横になって布団をかぶった。
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