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第33章 wrong gossip
「寒いけどさ、ちょっとだけ公園行かね?」

羚汰がそう提案する。

なかやまからの公園は、思い出のデートコースだ。

「うん!」


コンビニであったかいお茶を買って、それをポケットに入れて向かう。

案の定、公園には誰もいない。
いつものブランコに座る。

ブランコから見える向かいの一戸建ての二階の窓に、小さなツリーが置いてあり、イルミネーションが光っていた。

「あ、ツリー!」

「ん?ホントだ。前来た時なかったよな?」

「そうだね。なんか、イルミネーション思い出すね。遊園地の」

「あー」

「綺麗だったよね。また行きたいな〜」

あの日は、料理教室からはじまり、羚汰とカフェ行って、イルミネーション見に行って、それからマンションの前でキスして、そのまま...。
稜が思い出してぼんやりしていると、羚汰が繋いだ手をギュッと握る。

「今日でちょうど2週間なの、知ってた?」

「えっ!あ、そうか!」

「やっぱりな〜。そんな気はしてたけど」

羚汰と付き合い出して、密度の濃い日々を送っていて、2週間があっという間に過ぎた。
でも、2週間という気もしない。もっと前からこうしていたような。

「せっかく、早引けしたのに...」

「ん?え?早引け、その為に??」

羚汰が繋いだ手をそっと離して、背中のバッグを降ろし、ごそごそ何かを取り出そうとしている。
そこから、ちいさなブーケが出てきた。

「!」

「バイト先の先輩たちにさ、付き合い出して2週間だって言ったら、花買って早く帰れって...だから。はい」

稜のブランコの前に立った羚汰が、花束を差し出す。
いつも甘いセリフを連発して人前でチューだってせがんで来るような羚汰なのに、花束は恥ずかしいらしい。
真っ赤な顔をして、少し視線を逸らすようにして、花束を差し出している。

「ありがと」

なんだかこちらも恥ずかしくなってくる。
小さなブーケは、落ち着いたピンク系の花がぎゅっと小さくまとめてあって、可愛らしい中にもちょっとシックな雰囲気があった。

「花、サッパリわかんなくって、なんとなく稜っぽいのを選んだんだけど...よかった?」

羚汰が私に対してのイメージってこんなカンジなんだ。
なんだか顔が顔がにやける。

「すごく綺麗。ありがとう」
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