この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
NEXT 【完結】
第33章 wrong gossip
2人笑って土を掃いながら立ち上がり、もう一度お互いを抱きしめる。
一瞬、涙が引いていた稜だったが、羚汰の温もりにまた涙があふれる。

「稜、泣かなくていいから」

声に出さずに涙を流していたのに、羚汰にはわかったらしい。

「...っ。...うん」

羚汰は、こんな自分に全力で向き合ってくれている。
その思いがとてつもなく嬉しくもあり、自分が向き合えないことに対しての後ろめたさもあり、胸が苦しい。

この際、今聞いてみようか。

今なら、聞けるかもしれない。

というより、今を逃したらもう聞けないかもしれない。


「...羚汰。...聞きたいことがあるんだけど、聞いてもいいかな」

「もちろん。なーんでも聞いて」

そういって体を離そうとする羚汰の体をきつく引き寄せる。

「このまま!このまま、お願い」

「いいけど...」

もう一度、羚汰の腕が稜を抱え込む。

谷本社長は、聞かない方が、って言ってたけど...。



「あのね...。その、ウワサをね、また、ちょっと聞いちゃって」


羚汰の体が少しだけビクリとして固まったのが分かる。

さっきまでの暖かな空気が、張り詰めたものへと変わる。


「うん...」


「聞いてみるべきか、すっごく悩んだんだけど...」


気まずい沈黙が流れる。

ああ、やっぱり聞くべきでなかったかもしれない。

稜の中で不安が膨らむ。


「...何。どんな噂?」

そう発した羚汰の声が固く、少し怒っているように聞こえる。

羚汰の背中に回した手で、そのブルゾンを握りしめる。


「ごめんね。その、本当なら別にそれでいいの。ただ、ちょっと、聞いてみたくって...」


「...だから、何」





「......子ども、...いる、の?」






羚汰が息を止めたのがわかる。




ああ、やっぱり。


聞くべきではなかった。


わかっても、ひとつもいいことはない。


谷本社長が正しかった...。



涙が溢れる。



「...はぁあ??」


その話だとは思ってなかったのか、羚汰の驚愕が体に伝わる。



「地元に...認知した子どもがいるって、聞いて...」




肩をガツと掴まれ、勢いよく引きはがされる。



「誰に聞いたの!?」
/1240ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ