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第35章 お迎え
抱き合った羚汰の心臓の音が聞こえる。

つられて稜の心臓も早く鼓動する。

「...えーっと。明日、か、明後日ぐらいにね...」

「うん?」

「その...女の子の日に、なりそうなの」

「へ?」

「だから、...当分出来なくなっちゃうから」

羚汰が落胆とも驚きともとれる動きをして、稜を抱きしめる。

「なんだ!ビックリした~。何事かと思ったし!」

羚汰が心底ホっとした様子で稜を抱きしめる。

「それで今日イッパイ頑張ったの?」

腕の中で稜がかろうじて頷く。

「可愛すぎるんですけど!!」

稜の顔を掴んで、顔中にキスを落とす。

「...当分って、どのくらい?」

「一週間、かな」

本当は6日ほどで終わるけど、そう言っておいた方がいいと思う。

「んー、それって、クリスマスとかも、だね」

一転、残念そうな気配が伝わる。

「そうだけど、ほら、2人でクリスマスする時には、大丈夫だから」

その言葉を聞いてにやりと微笑む。

羚汰のそのいつもの笑い方が背中をぞくりとしたものが這う。

「じゃ、その日は思いっきり、ヤりまくれるねー」

そう言いながら、仰向けにした稜の全身にキスを落としてゆく。

「今日から一週間か~。相当、今日ヤリ溜めが必要だね」

胸のあちこちにキスを落とす。稜の体がそのたびにピクりと動く。

「んっ...明後日から、かもっ、だけどぉっ」

「どのみち、明日は会社の忘年会、じゃなかった?」

明日は事務員だけで行う女子会で無く、営業のおじさまたちも含めた会社全員による年1回の忘年会なのだ。

毎年、谷本社長の友達の小さなお寿司屋さんで、お寿司を頂くことになっている。

谷本社長がお酒を飲まない人なので、他の営業マンも大して飲まず、本当にお寿司を食べるだけ食べてすぐ解散になる。忘年会というより会食だ。

無料で美味しい寿司が食べられるとあって、若い子たちもこの会食は楽しみにしている。

2次会は、社長を除く営業のおじ様たちはおねーちゃんのいるお店へ。事務員たちはカラオケに行くのが通例だ。

稜はいつも、カラオケに行ったとしても早めに帰宅している。

「じゃ、カラオケに迎えに行くね」

「えっ!」

おへその辺りにいる羚汰に思わず起き上がって聞いてしまう。

「約束したじゃん?忘れたの?」
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