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第35章 お迎え
年齢のくだりは軽くスルーして、すぐに髪の毛やピアスの話に変わり、盛り上がっている。


そこへ、桃香が集団から離れてやってきた。

「めちゃめちゃ素敵な彼氏じゃないですか!」

「...うん」

「何ヘコんでんですか!」

「別に...」

「あっ、嫉妬ですね~?んもうっ、ラブラブなんだから、そんな心配いらないですよ~」

「...そんなんじゃ」

「でも私、彼氏サン、どっかで見たことがあるようなー」

「えっ」

羚汰のバイト先のラコルテに行ったことがあるのだろうか。

行ったことあっても不思議ではないのだが。

「カフェ...だったかなぁ」

桃香が悩んでいると、羚汰たちの集団からまた歓声があがる。

「うっそー!」

「きゃー!」

「というワケで、そろそろ帰らなきゃ」

その歓声を抜けて羚汰がやってきた。
強引に稜の腕を持ち上げて帰るよう促す。

「稜。終電の時間。そろそろ帰ろ」

「えっ。うん」

「じゃ、お邪魔しました~」

「お先にごめんね」

まだ歓声が残る部屋を気にしながらも出て、駅へ急ぐ。

確かに終電ギリギリだ。

忘年会終わりの人ごみでごった返す駅前を通り抜ける。

なんとか駅にたどり着き、終電にギリギリ間に合った。

そこそこ人も多く、入り口付近に立って乗る。

「ビックリした...。まさかカラオケの中まで入ってくるって思わなかったから」

「んー。俺も。電話も鳴らしたし、ノックだってしてたんだけど、なんか盛り上がっちゃってて全然気付いてくれないからさぁ。そしたらそのうち、稜が脱がされ始めちゃって」

思い出して羚汰がくっくっくと笑っている。

「確かに、凄かった。女子会」

「帰り際、なんて言ったの?すごい歓声があがってたけど...」

「んー。ナレソメみたいなの聞かれちゃってさ。稜とお隣同士で、今はほぼ同棲中だって、言っちゃった」

「ええっ!」

ただでさえ、キスマークがどうのと責められたところなのに、そんな同棲してるなんて事言ったら月曜日に一体どんな顔をすれば...。

「俺が学生なのとか色々ナイショにしてたみたいだけど、そのぐらいはバラしてもいいでしょ」

拗ねたようにそう言われると、反論できない。

「...ごめんね」

かろうじて稜がそう謝る。
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