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第36章 お泊り会
「...キミの意思はわかった。でも、これからタクシーで来てたら、2時過ぎるし...」
「それに、うちらも酔っ払ってるし。悪いんだけど、今度、日を改めてにしてもらっていいかな?」

「...わかりました」

その後、いくらかやりとりをして、年内と正月は2人も羚汰も難しいということで、明けてから日にちを考えることに決まった。
今回の、鍋パーティも緊急で集まったのだ。これ以上は、なかなか時間が取れそうにないらしい。

「じゃ、それでお願いします」

「こちらこそ」

「...稜、2人で話せる?」

「え、...あ、うん」

2人が目くばせをしてくれて、稜はスマホを持って2階の布団の敷いてある客間に行く。

「ごめんね。なんか、大変な事になってしまって」

「ううん。大丈夫。ちょっと、というか、カナリ驚いたけど」

羚汰が電話の向こうで、苦笑いしている。
スマホを耳に当てていると、車の音がする。
今まで気づかなかった。

「...羚汰、どこにいるの?」

「ん?もうすぐ、駅。タクシー拾おうと思ってるんだけど、この辺つかまらなくて」

「さっきまでは?」

「ああ、大丈夫。バイト先からだから」

「えっ!ひょっとして...」

「んー、まあ、何人かには聞かれた...かな」

また、えらいものを聞かれてしまった。
恥ずかしい。
本気でもうラコルテには行けないかもしれない。

「稜、...大丈夫だからね」

優しい声が広がる。

「俺。本当に稜が好きだから、一緒に居る為だったら何だってするよ」

「...羚汰」

また胸が熱くなる。

稜に対してどこまでも優しいのだろう。

こんな彼氏、どこ探したっていない。

「私、何したらいい?」

「んー?とりあえず、俺の部屋に帰って来て」

「羚汰の部屋に?」

「そ。一緒に住も?」

前から、羚汰は引っ越してくるように言っていた。

「寝る時も、起きた時も、稜が傍にいてくれたらそれだけで俺は嬉しい」

満面の笑みの羚汰が浮かぶ。

羚汰が喜んでくれるなら...。

「...わかった」

「えっ。ほんとに?やった!!」

羚汰が喜んだあとに、ガッツ、ゴッと音がしてしばらく無音になる。

「え?羚汰??...羚汰???」
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