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第37章 クリスマスの奇跡
「はい。カフェラテ」

受取ると、そこにはツリーのラテアートが書いてあった。
星も散りばめてあって、クリスマスらしいラテアートだ。

「...かわいい!」

「でしょ!お店でも好評だったんだよね~」

コーヒーのいい匂いがして、一口飲むと温かいカフェラテが体に広がる。

稜の隣に腰掛けながら、羚汰が稜の頭をゆっくり撫でる。

「美味しい?」

「...うん」

「よかった。この可愛いケーキ、食べてい?」

羚汰が満面の笑みを浮かべ、フォークでケーキのてっぺんのイチゴをつつく。

「うん。食べて」

「凄いね。手作りだよね?」

「作り方、簡単なの。生地はホットケーキだし」

「んー!美味しい!」

羚汰がペロリと3口ほどで食べ終わる。

「早っ」

「美味しかったんだもーん」

稜もフォークでつついていたが、まだぼーっとしてしまい、食べるまでいかない。

「...食べないの?」

「羚汰、よかったら食べる?」

そう言ってお皿を差し出すと、羚汰の目が輝く。

「いいの?やった!」

デザインにこだわらず、もう少しホットケーキ焼けばよかったかな。

「じゃあ、はい。いちごー」

てっぺんのイチゴをフォークに刺し、稜に差し出す。

ぼんやりしていて、つい条件反射的にぱくりと口にする。

「ヤバイ。可愛い」

ぽそりとそう呟いた羚汰が、顔を近づけてくるのもあまり意識していなかった。

唇が重なってはじめて気付く。

「...んっ」

「イチゴの味」

甘いキスが終わって気づくといつの間にか、ソファーに押し倒されている。

「ごめん。つい」

羚汰が腕を掴んで起こしてくれる。

引っ張られるまま、羚汰の膝の上に向かい合うようにして抱き寄せられる。

ソファーにもたれる羚汰が、稜の顔にかかる髪をよけて、優しく声を掛ける。

「大丈夫?」

「...うん。なんか...まだ理解が追いついてなくて」

「だろうね」

羚汰が少し笑っている。

「何でも聞いて?何なら、最初から自己紹介でもしよーか?」

稜が小さく何度も頷く。

「じゃあね。えーっと、名前は、斉藤リョウ“タ”。25歳。K大外国語学部イタリア語学科3年」

羚汰が思いつく限りの自己紹介を始める。
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