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第37章 クリスマスの奇跡
「流石にこんな経歴でK大に通ってるヤツって珍しいらしくて。俺、自分で言うのもなんだけどさ。結構有名人なんだよね。だから、最初、稜が俺のウワサを聞いたって言った時に、この話の事だと思ったんだ」

それで辻褄が合う。

『去年まで、チャラチャラ遊んでた?』

と確かそう聞いたから...。

「あんまイイ経歴とかでもナイしさ。イタリアで遊び回ってた、とかって」

イタリアー。

そう言われたら、ラコルテでの講習会。イタリア人講師、エンリコ・ブルーノの通訳。ピンチヒッターだったが、難なくこなしていた。
その時に、留学がどうのって話していた気がする。
数週間のホームステイぐらいに考えていたけど、確かにそれだけであれだけの通訳までするのは無理がある。

それに、付き合う前から廊下ですれ違う度に軽〜いカンジで言葉をかけてきたり、付き合ってからもすごく優しくて、毎日のように甘い言葉を囁いたり。

それって、年下だから、若いからと思っていたけど。

イタリア人っぽい!!
というか、ジ〇ーラモっぽい!

稜の中で、何かがつなかった。

イタリアのその友人と長年一緒に居て、イタリア人ぽくなったんだ。

「その...」

「何?何でも聞いて?」

「アレックスって、前に、Skypeで話してた人?」

いつだったか夜中に稜が起きた時、パソコンの前でイタリア語で談笑していた。
稜が近づくと、慌てて会話を終了していた。

「あー...」

羚汰が、気まずそうに笑って顔をそむける。

何かマズイことを聞いたのだろうか。

「アレックス、俺にはちょーいいやつなんだけど。その...」

羚汰が、話し辛そうにしている。

「女にだらしなくてさ。...あのルックスじゃ、しょーがナイんだけど」

「イケメンってこと?」

羚汰がまたスマホを取り出して画像を探している。

「会わせたら、稜が好きになるかもだから、あんまアレックスの話はしたくなかったんだよねー」

アレックスの画像が出てきたらしく、手を止め画面を体にくっつけ稜に見せないようにして、稜を見上げる。

「...好きにならない?」

「写真を見て?そんな、ならないよー」

「アレックスと3秒目が合ったらオチるって、伝説があるんだよね」

拗ねてる羚汰が可愛らしい。ほんとに25歳だろうか。

「写真でしょ?」

「んー。じゃ、これ...」
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