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第39章 深まり
昼休み、お弁当を広げながら雑誌も広げる。

“リョウ”のページだ。

職業:学生&ラコルテのスタッフ
年齢:25歳
趣味:サッカー
特技:イタリア語
女性のタイプ:美味しそうに食べる人
笑顔が可愛いイタリア留学経験もあるK大の学生クン。土日のランチは彼がピザを焼いてくれる。是非食べに行ってね★

写真が、大きなものの他に、小さくではあるが普段着のものや、大学で撮ったようなものまであった。
初夏の服装の羚汰が見慣れず気恥しい。

この雑誌を前見たときは、全然気づかなかった。
ラコルテで、羚汰に声をかけられるまでわからなかったぐらいだ。気づかなくて当然かもしれない。

しかし、ここに年齢なんかも書いてあるし。
気づいていれば色々違ったかもしれない。

「やっぱりイケメンですねー」

不意に麻衣が覗き込む。

「きゃ!...びっくりした」

「毎日、この彼と一緒にいるんですよね?いーなー!」

そうだった。同棲中って皆にはバレているんだった。

「...まぁ、ね」

今の状況が微妙に思えて、どう返事していいかわからず、言葉を濁す。

「昨日はクリスマスだし、相当激しかったんですねっ!きゃ!!」

気分沈みがちな稜の様子が、違う意味で寝不足で疲れていると思ったらしい。

「えっ、違っ!」

「だってぇ〜、またココにシルシついてますよぉ〜!」

麻衣が首のところを指さす。

「えっ!!」

慌てて首を押さえる。

昨日は、寄り添って寝ただけで、シなかったのに。

「もうちょっと後ろですよー。普段髪で見えないけど、ちょっとした時に見える位置ですね。彼氏サンわざとかなぁ〜」

麻衣が示したのは、耳の下からうなじに近い位置だ。
前と違い上にあるので、洋服では隠れない。

そういえば、寄り添って寝た筈が朝起きたら、羚汰に後ろからきつく抱きしめられていた。
いつも以上に引き寄せられていて、息苦しくて目が覚めた気がする。
あの時にー。

「やだぁ、もう真っ赤ですよぉ〜!いまさらなんだから〜」

他の会社に残っている人たちは、電話中だったり仕事をしているので、流石の麻衣も小声ではあるが、稜をつつく。

「ちょっと、麻衣ちゃん、麻衣ちゃん宛の電話〜!」
「はーい」

麻衣が離れていってほっとする。

手鏡を出して、首のところを見る。
自分ではかなり見にくい位置で、今朝は気づかなかった。
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