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NEXT 【完結】
第40章 candle night
スマホの振動音がして、目を覚ます。

いつの間にか羚汰が帰って来ていて、横で寝息をたてている。

稜は起こさないようにそっとベッドを出て、クローゼットもそーっと開けてその前で着替えを始めた。
掃除がしやすいように動きやすいジーンズと、シャツを着て、上をカーディガンにしようかニットにしようか悩んでいると、後ろから声がする。

「あー、掃除のカッコウ?」

「え、あ、ごめん、起こした?」

「んー。なんとなく。...それよりさー。そんなの着てくの?」

稜は、深いグリーンのカーディガンを着ていた。

「うん。汚れたら嫌だし。これ、もう古いから」

「ユニ○ロのパーカーとかないの?」

稜は首を横に振る。
でも、毎年こんなカンジだ。

「じゃ、これ。着たらいいよ」

いつの間にかクローゼットまでやってきた羚汰が、プルアップのパーカーを差し出す。
ミッキーが付いた派手なやつだ。

「えっ。ちょっと派手じゃない?」

「掃除に行くんでしょ。これ、安くなってたんから買っちゃったんだよね~」

流石に羚汰も買ったものの着ずに居たらしい。

「で、シャツはこれね。で、コートはこれ着て?で、このニットキャップに~」

次々と羚汰が出してきて、少し戸惑いながらも言われるがままに着替える。ボタンをとめるのを手伝ったり、上からパーカーを被せたり、実に楽しそうに羚汰が張り切っているので、なんだか逆らえない。

羚汰の服のサイズが、そう稜と変わらないので、少し腕まくりをしたら正しくボーイフレンドファッションでイイカンジなのだ。

「やっべ。超かわいい。ほらっ」

クローゼットの横にある鏡の前に立たされる。

「え...」

そこには、別人のようにカジュアルになった稜がいた。
羚汰チョイスで選ばれた服は、どれも色や柄が派手だったが、着てみるとしっくりまとまった。
何より、年齢がぐぐっと若くなった気がする。

「ほらー。普段のシックなキレイメの稜もいいけど、こんな風な明るめの色とかも似合うんだって」

後ろに立っていた羚汰が、ぎゅっと腕を回して稜を抱きしめる。

「あー、このままどっか出かけたい~」

「私もそうしたいけど。行かなきゃ。...明日、出かけるじゃん」

そう言って、腕を軽くタッチしてほどくよう促す。

ぶー。と口を尖らせて、羚汰がすごすごとベッドに戻る。
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