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NEXT 【完結】
第40章 candle night
「あ、時間!」

着替えに時間を取ってしまったので、慌てて稜は居間の方へ移動する。

洗面やメイク、朝食を済ませ、なんとかいつもの時間に部屋を出る。

その頃、また羚汰がボサボサ頭ですごすご出てきた。

「あ、寝てたらいいのに」

そんなそっけない稜に、また羚汰の口がとんがる。

「送りたかったんだしー」

「ごめん。急いでるから、もう行くね」

「えっ。行ってきますのチューは?」

益々フテそうな羚汰に、観念したかのように、唇を寄せる。

軽く触れ、離れていこうとすると、羚汰の腕が稜の肩を掴んで引き寄せる。

「ちょ、羚汰っ」

「足りない」

そう言っていつものように舌を差し入れ稜の舌と絡ませてゆく。

「んっ...、もうダメだって」

「えー」

「今日は早く帰るから」

そう言いながら玄関まで歩き、靴を履く。
その後をてくてく羚汰が付いて回る。
新婚さんの、しかも男女が逆転したかのようなセリフとシチュエーションに気付いた稜が、下駄箱からスニーカーを取り出しながら固まり、一気に赤面する。

そんな稜の様子から羚汰も気付いたのか、こちらは嬉しそうな顔だ。
両手の指を組んでしなりをつくり、目をぱちぱちとさせている。

「いやん。早く帰ってきてねん!あ・な・た♪」

そう言ってほっぺにちゅっとする。

「行ってきます...」

益々赤面しながら稜が逃げるように出掛けた。



足早に駅に向かい、なんとかいつもの電車で会社に着いた。

会社に着くと、早く着いていた人からもう机や椅子を外に出している。

「あー!えー?」
「えっ、高崎さん?」

女性スタッフはもちろん、普段そんなに話をしない営業の男性陣も驚いている。

稜は、内心ドキドキしながらも、素知らぬ顔で大掃除に加わった。

「え。なんですか。何かあったんです?」
「ひょっとして彼氏さんチョイス?」
「似合いますよ。明るい色」
「あ、そういえば、行ったんですよ!ラコルテ!」
「そうそう!彼氏さん、サービスしてくれて~」

きゃいきゃい囲まれていると、社長から声がかかる。

「そこ~。掃除してくださいよ~。手が止まってますよ~」

谷本社長自ら大掃除をしているので、みんなのんびりしているワケにはいかない。

「はーい」

「遅くなりましたぁ~」

いつも通りギリギリに麻衣がやってきて、本格的に掃除が始まった。
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