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第40章 candle night
言われたとおり、ストーブ近くのラグの上に座る。

ほんのりラグが暖かい。
手で触って確かめていると、羚汰の声がした。


「それ、ホットカーペットなんだ。普段つけないけど」

「えっ、でも電気って?」

羚汰が笑って指差す先に、延長コードのドラムが見える。

「そのLEDと、ホットカーペットの電気は、俺の部屋から引っ張ってんの」

薄暗闇の中、コードの先を目で追っていくと、屋上から羚汰の部屋のベランダのあたりに降りている。そのベランダを通って部屋まで伸びているらしい。

「これらのキャンプ用品は、元オーナーの森さん、覚えてる?」

講習会の時に一緒のチームになったおばあちゃまだ。

「あの森さんのひ孫にあたる、ユウが貸してくれた」

そう言いながらもてきぱきと料理の用意がはじまり、様々な料理がテーブルに並べられてゆく。

「ひ孫さん、いるんだ」

「うん。あそこの家系、ちょっと入り組んでんだけど、ユウはいいやつだよ。一緒に働いてる」

ワインを開けて注ぎ、稜に手渡す。

「そんなことより、ほら、乾杯しよ?」

「あ、うん」

羚汰も、稜に寄り添うように座り、ワイングラスを持っている。

「遅くなったけど、メリークリスマス!」

「メリークリスマス」

ベンチシートコートを着ているからか、ホットカーペットやガスのストーブが功を奏しているのか、時折風があるのを除けば思ったより暖かい。

「ホントは前菜から、といいたいところなんだけどさ。ピザが冷めちゃうから、ピザからどーぞ」

「うん。いただきます!」

羚汰の部屋にあるオーブンレンジで作ったのだろう。
お店のやつより2周りほど小さかったが、いつもラココルテで食べるピザの味だ。

「美味しい!」

「よかったー。でもやっぱ、釜と勝手が違って、同じようにはいかなくてさー」

「そんなことないよ!いつもの味だよ」

プロからしたら、生地の膨らみとか諸々違いがあるのかもしれないが、稜には同じに感じる。

「幸せ〜。ラココルテのピザをこんな素敵なとこで食べれるなんて〜!」

「稜って、ほんと食べてる時、幸せそうだよね」

羚汰が、何やらコンロで鍋に火をかけながら笑っている。
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