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第42章 Sweetest
稜を驚かそうと、風呂に入る前にキャンドルに火を付けた。
風呂に思いのほか長く入っていたので、その間狭い寝室でその成分が充満し続けた...。

入ってきた時、なんだかエロティックな匂いがすると思ったー。

「気休め程度だって言ってたのにさぁ」

羚汰の口が尖がっている。

ふと何かが引っかかる。

「...言ってた?」

稜が体をぐるりと反転して、羚汰の方へ向く。
口ぶりから、お店の人とかではなく、もっと身近の人に思えた。

羚汰が、やべっという顔を一瞬した。

「んー。実はさ、キャンドルとか、アドバイスってゆーか、教えてもらったんだよね」

初めてクリスマスを恋人と過ごすことになって、悩んでバイト先の先輩にこっそり相談した。
そしたら、色々アドバイスをくれたのだ。

こっそり一人の先輩に相談してたのに、いつの間にか全員に知れ渡った。
からかうの半分でそれぞれアドバイスをくれて、キャンプ用品を貸してくれたり、イルミネーション借りる手筈を整えてくれたり。マンションに運ぶのも手伝ってくれた。

「...幻滅した?」

「えっ。なんで?」

「んー。だって、かっこ悪くね?手伝ってもらってばっかでさー」

羚汰が、稜と指をからめてつなぐ。

「そんなことないよ。羚汰もいっぱい考えてくれたんでしょ?人任せにしてたワケじゃないんだし、皆のお陰で素敵な時間過ごせたもの」

「んー、そりゃあ、まぁ」

稜から、つないだ指をにぎにぎっとする。

「明日、皆が手伝いに来てくれたら、お礼言わなきゃね」

「え、いいよ!ってか、ここから出ちゃダメだから」

羚汰が慌ててつないだ手を引っ張り、稜を自分の胸に引き寄せる。

「なんで?」

「ダメったら、ダメ!」

「...私をみんなに会わせるの、恥ずかしい?」

「違っ!そーじゃなくて。...あーもう!」

羚汰が、抱きしめる力を強める。

「羚汰だって、私が恥ずかしがっても、会社の女子会のカラオケ来たでしよ」

稜が少し見上げるようにして、羚汰の顔を覗く。

「...うー。そーだけど」

手を伸ばして、羚汰の髪の毛を触る。
形のいい眉に少し力が入っている。

体を伸ばして、そこへキスを落とす。

「奴ら口悪いし、稜に変なこと言いそうなんだもん」

意味不明な言い訳に、稜が声を出して笑う。

「何それ」
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