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第43章 買い物デート
「え、羚汰?」

「ソイツ危険だから近付いちゃダメ」

「ひどいなあ。先輩の彼女に手は出しませんよ」

羚汰が稜を隠すように立ち、ダイキを睨んでいる。

は?手を出す??

羚汰の肩越しにダイキを見てみても、ダイキのほうは悪びれた様子はなく、けろりとしている。

「確かに腹減ったな。そろそろ帰るかー」

精悍な子が背伸びをして立ち上がる。

それを合図にしてか、3人がぞろぞろ立ち上がり、玄関に向かう。

「ラーメン、ラぁーーメン!」

「おじゃましました!」

「また来ますね」

「もう来るな!」

ショートコントでも見ているかのようなやりとりに、稜の口元がほころぶ。

羚汰のキツい言い方に、ダイキの足が止まる。

「あ、そんな事を言っていいんですか。リョウさんにバラしちゃいますよ」



「リョウってば、そのゆび...」

「あーー!」

慌てた羚汰が、ダイキの口を塞いで、そのまま玄関を出てゆく。

稜は1人玄関に取り残される。
ドアの向こうで何やら小声でやりとりをしているが、会話の内容までは聞こえない。


ソファに戻ってカフェラテの残りを飲んでいると、やがて羚汰が帰ってくる。

「おかえり。さっきの...」

稜が話終わる前に、抱きしめられる。

「はぁ。もう本当カンベンして」

なんだか疲れた様子だ。

「...大丈夫?」

「だから、やつらに稜を会わせたくなかったのに」

「なんで?楽しかったよ」

体を少し離して、羚汰のふわふわの髪を触る。
不機嫌そうで、それでいてなんだか困ったような不思議な表情で思わず撫でたくなる。

「かわいい後輩たちじゃん」

何やかんやといいつつ、仲がいいのはすごく伝わった。
友達の前での羚汰の様子が見れたのも嬉しかった。

「...わざとじゃないよね?」



また羚汰の腕がきつく回される。

「あー、もう。出掛けるのやめようかな」

「えっ。やだ。2人で出掛けたい」

羚汰が、しばらく動かずにじっとしている。

ホントに出掛けるのやめちゃうのかな。

稜がちょっと不安になっていると、羚汰がふふっと笑ったのがわかった。

それから体を離して稜のほっぺたをぷにぷにとつねる。
さっきの不安そうな顔から一転、笑顔になっている。

「ひょ、あに」

「何食べにいこっか」
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