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第43章 買い物デート
時間も時間だし、電車かバスで移動となると、都会ならいざ知らず、こんな田舎では行くところもない。

「うーん。ベタだけど、映画でも見に行く?」

「うん」

駅前の映画館に行くと、ちょうど年末で色んな映画をやっていた。

何を見るか迷ったが結構売り切れのものも多く、無難にアクション映画に決まる。

その時間まで余裕があったので、ぶらっと街歩きをして、映画館に向かう。

丁度夕ご飯の時間帯になったからか、カップルシートが取れていたのだ。

元々古い映画館で、ふつうタイプの座席だったが、最近郊外型のシネコンにお客を取られてきたので、大がかりな改装をしカップルシートを導入したらしかった。

全体の座席の上から2列ほどがカップルシートになっている。
そんなに広くない館内にゆったりとしているので、全部で8席ほどしかない。

新しいその二人掛けのソファは、映画館用のソファというより、普通の二人掛けのソファーを置いているというカンジだ。
リクライニングが出来て、足もフットレストが出てくるタイプで、横には普通のサイドテーブルが置いてある。
ただし、隣のソファとは目隠しがしてありプライバシーが守れるようになっている。
クッションやひざ掛けもついていて、快適そうだ。

「わぁ。すごい。カップルシート初めて座る~」

「俺も」

「なんか、普通に家にいるみたいだね」

隣との目隠しのパーティションにハンガーがあり、そこにコートを掛ける。

「うわっ。これ、つまんない映画だったら寝そう」

羚汰が思いっきりリクライニングを倒してみている。

「そこまで倒したら、映画見え難くない?」

「あはは。確かに―」

調節して、少しだけ倒すことにした。

ソファの調節にモタついているうちに、映画が始まってしまった。

シリーズ映画の第3弾だったが、王道なアクション映画なのと、最初にダイジェストもあり、前の2つを見ていない稜もすんなり世界観に入れた。

最初から激しいアクションの連続で、稜は羚汰に手を繋がれた事に気付かない。

時折びっくりする効果などで顔を合わせたりしたものの、物語の中盤までは、羚汰も映画に引き込まれて、2人で画面に釘付けだ。

中盤を過ぎたあたりで、主人公とヒロインの濃厚なラブシーンが始まる。
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