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第44章 Situation
互いに視線をずらしていて、至近距離にいるのに、なんだか遠くに感じる。

稜がそんな距離感が嫌で、羚汰に抱きつく。

「大丈夫だから。ちゃんと断るから。信じていて?」

言い聞かせるように、羚汰の耳元で囁く。

なんとなく納得する。
なんだか昨日今日と甘えてきていたのは、見合いのことが念頭にあるからなんだ。

「うん...。ごめん。疑ってるワケじゃないし、困らせるつもりナイんだけど...。やっぱ気になってさ」

「そうだよね」

もし逆の立場だったら、私も不安でいてもたってもいられないだろう。

羚汰を抱きしめる手に力を込める。羚汰も抱きしめ返す。

羚汰が気が済むまで、こうしていよう。

「ん。...いい匂い」

「ふふ。ホットケーキの匂いする?」

綺麗に食べきったが、まだそこら辺中でホットケーキの匂いがする気がする。

「ううん。稜の匂い。ホットケーキより甘い、いい匂いだよ」

「えっ。ホットケーキより甘いって...。変な匂いじゃない?」

「変じゃないよ。いい匂いだって言ってるじゃん」

羚汰が、稜の頭をポンポンと叩く。

そんな事を言われても、自分じゃわからない。

香水をつけているわけじゃないし。
シャンプーの匂いだろうか。

「ね、どんな匂い?」

「どんなって言われても...」

少し体を離した稜の首筋に、羚汰が鼻を近づけてかいでいる。

「なんだろ、...桃缶?」

「えー、桃缶??安っ!」

桃缶と言われて咄嗟に値段を思い浮かべてしまう。

「あははっ」

「もうちょっとイイ匂いかと思った。桃缶かぁ...」

薔薇とまではいかないにしても、フレッシュな柑橘系とか、ハーブの匂いとか。桃でも、フレッシュな果実の香りとか。もう少しイイ匂いかと思った。

桃缶の匂いがする三十路女ってどうなんだろう。

「ごめんごめん。そんなショック?」

羚汰が拗ねる稜の頭を優しく撫でる。

「だって、今時桃缶なんて...。なんか昭和なカンジじゃん」

「例えれば、だから。もっといい匂いだよ。俺が上手く表現出来ないだけで」

羚汰が少し焦って、ソファにもたれる自分に引き寄せるようにして稜を抱きしめる。

悔しい。羚汰は、こんなフレッシュな柑橘系のいい匂いなのに。

「...俺の匂い嗅いでる?」

「嗅いでる」

羚汰が笑いながら、稜の頭を撫でる。

「俺は何の匂い?」
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