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NEXT 【完結】
第45章 お見合い
「うちに来るなら、もう少し派手にしないと。姉さん達派手だから、負けるよ」

???

は?

まさか、彼の中では話が進んでいる??

「...えーっと」

戸惑っていると、佐々木が続ける。

「大丈夫。はじめは慣れない事も多いけど、ママが教えてくれるし、そのうち慣れるよ。佐々木医院の一員となったら、衣服やカバンなんかはそんな地味なのだとね。せめてブランド品でないと恥ずかしいし」

「ちょっ、ちょっと待ってください」

慌てて、話の腰をおる。

佐々木は、きょとんとしている。

「その...」

稜が言いにくそうにしていると、佐々木が怪訝な顔をしている。

その顔は、稜が断るとは微塵も思ってなさげだ。

お見合いのルール的に、この場で断るという訳にはいかない。
帰ってからお仲人さんに何らかの連絡を入れることになっている。

その時間まではなんとなく誤魔化して、この場をやり過ごしておかないと。

「...その、こういったお見合い初めてで、よくわからないんですが。...まだお会いしたばかりですし」

佐々木の肉付きのいい額にシワが入る。

何が気に入らないの?といったところか。

「時間は関係ないでしょう」

関係ないのだが、ここはこう言うしかないと思ったんだけど。

「はっ、ひょっとして、あなたも“わたしには勿体無い方なので”と断るつもりですか」

両手を広げ首をすくめるポーズを取る。

「そこの判断は我が家が取ることですから...」

佐々木は、今までも同じような断り文句で、お見合い相手に断られているのだろう。

本当の理由とは違うと思うのだが、そこは面倒なので言うのを躊躇う。

そんな躊躇う稜とは別に、佐々木はどれだけ自分の家柄がいいものかなどを滔々と語っている。

さっきと言っていることが違うと思ったが、それも口に出すのは辞めた。

これだけ色々断る状況を提供してくれて、有難いぐらいだと思わなきゃ。

佐々木の話は、いつの間にか数年前に都会で住んでいたマンションの話になっている。



それから何度、店員さんがお水を注ぎに来てくれただろう。

稜は、適当に相槌を売っていたが、それすらもしんどくなってきた。
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