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NEXT 【完結】
第46章 Difference
電話の向こうで、母親が大きくため息をつく。

ため息をつきたいのはこっちよ!

あの数時間は、とても辛い数時間だった。
2度と関わりたくない。

「やっぱりダメ??」

「ダメでしょ!?母さんも、昨日あんなに一緒になってダメだよねって言ってくれたじゃん」

「...そうなんだけどね〜」

はっきりくっきり、やかましいぐらいの母親が、珍しくぐずぐすだ。
ため息を繰り返している。

「じゃあ、稜からおばさんに断ってよ?あんたは血が繋がってるから、強く言えるかもしれないけど...」

「...母さん、おばさんに何か言われたの?」

どうやら母親は、稜から言うと父方の祖母の末の妹にあたる、大叔母にあまり強く言えないらしかった。
いつも電話口ではテンションが高い母親が、すっかりトーンダウンしている。

「言われたのね。何て言われたの??」

「ワガママな娘を説得して、言うとこをきかすのが親の勤めー、とかなんとか...」

「何それ!!!」

ワガママじゃないし!
もしワガママだったとしても、それを無理矢理にでも説得して結婚させるとか、時代錯誤もいいところだ。

「もう、母さん、見合いはこりごりだわー。断るのひとつも、こんなにエネルギー使うとは」

確かに、断るのがこんなに難しいことになるとは思わなかった。
しかも、おばさんは向こう側だ。

「わかった、今はちょっと外だから、あとで家からおばさんに電話するね」

「そうして頂戴」

やっと電話が終わりそうだ。
興奮して忘れていたが、羚汰はどうしているだろう。

ふと、先ほどの場所を見ると、羚汰の姿がない。

「あんた、どこかにいい人いないの?ほら、千夏ちゃんだっけ?最近、結婚したー。あの子の結婚式とかで、いい人いなかったの??結婚式とかって...」

母親の話半分に羚汰の姿を探す。

「何探してるの?」

すぐ後ろで羚汰の声がした。
慌てて振り返る。

「あ、よかった。どこか行ったのかと」

「んー、そろそろ電車乗らないと、バイト遅れるからさー」

「そっか、ごめんね」

離していた電話をまた近づける。

「稜?稜??ちょっと、聞いてるの?」

「母さん、ごめん、行かないと」

「え、ちょっとまだ話...」

長くなりそうだったので、もう電話を切る。

「よかったの?まだお母さんしゃべってなかった?」

「いいのいいの」
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