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NEXT 【完結】
第6章 喧嘩からの...
その日の夕方、駅に降り立ったとき父親の車が迎えに来ていた。

早速、助手席に乗り込む。

「キャンキャンキャン!!!」

びっくりして後部座席を振り返ると、母親と一緒に子犬が座っていた。

子犬は座っているというよりも、リードをつけて後部座席を走り回っていた。

あまりの驚きに固まっていると、にこにこした母親が得意げに子犬をだっこして前足を振る動作をする。

「ほーら、サンセイ、稜おねーちゃんですよぉ~」

「何!どしたのこの子犬!!!」

「今さっき、貰ってきたんだ」

父親がゆっくりと車を走りだす。


「えええええ!!!もう飼わないって言ってたのに」

「うん。そうなんだがね」

「カイの孫かひ孫なのよ!!!」

母親が興奮して話し出す。

知り合いの親戚の家に雑種の子犬が沢山産まれて、里親を募集していた。
はじめ声がかかった時には、2人はもう飼わないと決めていたのでキッパリ断った。

2ヵ月以上経ったつい最近、最後の1匹がどうしても里親が見つからず、もう一度聞いてきた。

その時も断ろうとしたのだが、メールに添付してあった写真を見て思いとどまった。

カイによく似てる!

若いころよく脱走していたカイは、そこら辺中に子どもを作っていた。
似た犬に遭遇するたび、両親は気まずい思いをしたものだ。

その里親を探しているお宅は、自宅から車で20分ほどの距離。

真偽のほどはわからないが、カイの子孫でもおかしくない。

「だからねー、“3世”って付けたの」

そんな、ルパンじゃないんだから、3世って...。

「今日、生まれて3ヶ月になったから貰いに行ってきたんだ。稜がもうちょっと早く帰れたら一緒に行ったんだが」

ろくな用事ではないだろうと思って、夕方に帰ってきてしまったのを稜は後悔した。
カイの子孫だらけのところに行ってみたかった。

「でも3世が一番カイ似よ!」

カイはチョコ色だったが、3世は淡いベージュ色だ。
しかし、大きな耳のさきっちょが少し垂れているところと、小さいながらもくりっとした目がカイによく似ている。
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