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第50章 ドライブデート
また信号でとまったところ、横から羚汰が近づく。

「ひゃっ!」

「...ひゃって、何さ〜。ほら、キスしよ?」

羚汰がシートベルトを緩めてまで体を大きく乗り出して、キスを待っている。

「え、あ、なんで?」

「なんでって、いーじゃん。稜見てたらチューしたくなったんだもん」

遠ざかる稜の顔に、優しく手をかける。

「そんなっ、運転してるし...」

「今赤じゃん?ほら、早くしないと変わっちゃう」

急かされて顔を羚汰のほうへ向けると、ちゅっと音がして、唇が重なる。

嬉しそうな羚汰の顔が、離れては近づく。

稜も楽しくなってきてキスを繰り返していると、後ろからクラクションを鳴らされる。

慌てて車を動かす。

羚汰が声に出して笑っている。

「やっぱりさっきのとこ、行こうよ〜」

「行かないってば!」

「えー、じゃあどこ行くのさー」

近場でお金のかからないー。

「海っ!」

丁度、海の方角に車が向いている。
看板で数キロ先に海岸と表示も出ている。

「はぁ?この真冬に??もう日も沈むよ?」

「えーっと、あそこの海のそばに、素敵なカフェあるの。景色が綺麗なの。美味しいコーヒーとスイーツもあるからさ、そこ行こ?」

「うーん。じゃ、まぁいいけどさー」

羚汰はまだ少し不服そうだったが、稜はもう決めた。



たわいもない話をしながら、カフェに到着する。

2ヶ月程前に、コンパで知り合ったマサトシが連れてきてくれたお店だ。

それは言わなくてもいいだろう。

土曜の夕方ということもあって、お店は満席だったがなんとかカウンターに座ることが出来た。
窓から少し遠かったが、背の高い椅子で、景色はよく見えた。

暗い海に、向こう岸の明かりが綺麗に見える。

丁度、ディナーメニューが始まった時間らしい。

稜は迷いながらも、羚汰に勧められ、2人でカレーとハンバーグを注文する。

お腹が空いていないと思ったが、料理が運ばれてくると、美味しそうな盛り付けと匂い刺激されて、お腹が空いていると気付き、普通に食べきった。

羚汰は気付いていたらしく、驚く稜に笑っている。

「デザートは?食べる?」

「食べる!」

前回、ケーキは美味しかった。
あれは確か...。

「前来たとき、洋梨のケーキ食べたんだけど、すごく美味しかったんだよねー」
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