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第51章 旅行 〜前編〜
外観がそんなに高級そうになかったのに、中はビックリだ。

「ん?どうした?固まっちゃった?おーい」

羚汰が目の前で手を振る。

「...寝室は?」

恐る恐る聞いてみる。
あまりにも豪華で広い部屋だったら、眠れないかもしれない。

「3つあるんだけど。じゃ、まず1階の部屋からー」

リビングの奥のドアを開けると一つ目の寝室。

16帖はある少し細長い部屋に、ダブルサイズのベッドがふたつ。

ダークブルーをメインにコーディネートされていて落ち着いた雰囲気の部屋だ。
同系色のふかふかの絨毯が敷き詰めらていいる。

窓際に1人がけのソファーがふたつ可愛らしく並んでいる。

窓の向こうにはさっきのウッドデッキにつながっているようだ。

「素敵ー。ここが主寝室?」

羚汰が笑って首を振る。

「ここはー、客間かな?あ、でも俺らが夏来た時はここに雑魚寝したし、オーナー以外はここに泊まるんじゃないかな?ここはフツーなんだけど、他がちょっと個性的だから」

これで普通とか有り得ない!
個性的な他の部屋が気になる。

次は階段を上って2階。

一つ目の部屋は、入ると一番に天蓋付きの大きなベッドが目に入る。

「!!」

高級そうな木の彫刻で出来た黒っぽい枠に、白い透けた素材の布がかかっていて、どこかの王侯貴族の寝室の様だ。

ベッドのサイズも縦と横が同じぐらいの長さに見える。

部屋の広さはさっきの部屋とそんなに変わらない。

「スゴイね...」

もうスゴイという言葉以外に出てこない。

「ははっ。ここはね、あの元オーナーのおばあさまがデザインした部屋らしいよ。それっぽいでしょ?彼女が来たらここ使うんだってー」

確かに、シーツやカーテンの色合いが、藤色のような落ち着いたピンクや渋めの紫で構成されている。
あのおばあちゃまが好きそうな部屋だ。

ネコ足の花柄のソファーや、可愛らしいチェストもそれっぽい。



「最後のがもっとすごいよ?一応主寝室になるのかなー」

長い廊下を歩いた先が、主寝室になるらしい。

白っぽいドアを開けると、そこは温室もしくは洋風のサンルームのようだった。

部屋の東と南側が全て窓で、その窓一つ一つが大きく長く、それが並んで半円のように東から南に続く。
天井は放射線状に延びていて空が見える。
それらが全てガラス張りのようだ。
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