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第51章 旅行 〜前編〜
「...このままシタら、料理食べないでしょ。私も作れなく、なっちゃうしっ」

「んー、そうかもね」

ブラのホックが外され、指が膨らみに直接触れる。
互の息があがって、肌に触れる。
それだけで、稜はぞくぞくっと快感が広がる。

だけど、ここはちゃんと話さなきゃ。

「それはヤなのっ...。折角準備したんだから、食べて?...お願い」

必死の思いで、羚汰の顔を近づけて目を見る。

「...そんな顔して、ヤメロとかヒドくね?」

とりあえず、手は止まった。

「まだ夜来てないし、あの部屋でゆっくり...ね?」

そう言うと、勢い良く抱きしめられ、大きなため息が聞こえる。

「もう、本当に...。後で覚悟しといてよ?...ったく」

そう言って、唇を噛むようなキスを落とす。

「何作るの?」

「出来てのお楽しみ」

手をつないで、飛び降りるようにしてキッチン台から下りる。

「手伝うよ。早く終わらせたいし」

「いいよ。座ってて。羚汰、ずっと運転して疲れたでしょ。昨日準備してるから、そんなかからないよ」

乱れた服や髪を整える。
羚汰も手を伸ばして、珍しくまとめている稜の髪を撫でる。

「んー。でも暇なんだけど」

確かにここには暇つぶしになるような物は何もなさそうだ。

「ワインでも飲む?あ、それか!実はね、サングリア、作ってみたの」

稜がさっき入れたばかりの冷蔵庫を開く。

「保冷剤入れてたから、氷入れれば飲めるよ。赤と白どっちがいい?」

「サングリア?ってどんなのだっけ?」

羚汰がテーブルから椅子を持って来て、キッチンの横に座る。

「これ!」

麦茶を入れる様な入れ物にワインが入っていて、中に数種類のカットフルーツが漬け込んである。

「なんか見たことある。スペイン?の飲み物だっけ。じゃ、今日はスペイン料理?」

「あ、バレちゃったー」

棚からグラスを探すが、なかなか出てこない。
羚汰が、誘導してグラスを見つける。

氷を入れ、白いサングリアをフォークも使って注いでゆく。

「はい、どーぞ」

「稜は?」

「えー、私も?酔っちゃったら料理が」

「俺だけなの?一緒に飲もうよ」

羚汰が入れ物を奪って稜にも注ぐ。

「はい。乾杯!」

「乾杯」

「ん!美味しっ!」

「ホント?よかったー。赤もあるから、よかったら飲んでね」
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