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第52章 旅行 〜中編〜
「旅行に来て、それはナイっしょ。それに稜も期待して、あんなニンニクたーっぷり料理にしたんでしょ?」

「!違っ!!」

耳元で羚汰がくすくす笑っている。

...冗談だよね?
だって、さっきあんなに動けなくなるほど、激しかったのに。

「大丈夫、今度こそ優しくするから。それに、いつもと違って時間はたーぷりあるから」

羚汰が稜の髪を撫で、まだ濡れている頭にキスをする。
その動作がとても優しくて、大切に思われていることがヒシヒシと伝わって来る。

「その前に、この髪の毛乾かさないと、風邪引くね」

「...羚汰もね」

なんとか声が出た。

洗面台は2つ流しが並んでいた。
ドライヤーなども2つあって、とりあえずそれぞれで乾かす。
羚汰が終わると、自分のドライヤーも使って稜の髪を乾かした。

歯を磨いて、化粧水をつけていると、羚汰が顔を差し出す。
どうやら、羚汰も化粧水を付けたいというアピールらしかった。
その顔にたっぷり化粧水を付ける。

化粧水などつけずともすべすべで、普段何もつけてないというのが驚きだ。

「羚汰、ヒゲもあんまりナイよね?」

「そーなんだよね〜」

なんかテンション低めだ。

「前も言ったかもだけどさ。俺、すね毛とかは濃いのに、ヒゲが全然ダメでさぁ。いっぺん頑張って伸ばしてみたんだけど、中国とかアジア系の海賊みたいになるんだよね〜」

口元にヒョロヒョロとしたヒゲを蓄えた羚汰を想像して吹き出してしまう。

「ひでぇ!そこまで笑う?」

「ごめん。だって想像しちゃって」

羚汰が鏡に映る自分の顎を眺めて落ち込んでいる。
そんな姿もとても愛おしい。

その背中に横から抱きつく。

「お待たせ。できたよ」

「ん、じゃ行こう」


手をつないで、2階の寝室に向かう。

「何か、飲み物とか持ってく?」

「うん。ワイン、まだあるよ」

買いに行けないというので、少し余分に持ってきてる。
確か、スパークリングワインが開けずに残っていた筈だ。


キッチンに寄って、ワインの他に水やらいちごやらを取り出す。
いちごは、羚汰が少しお腹が空いたと言うからだ。
あのチョコタルトはちょっとこの時間には食べれそうにはない。
残ったのはいちごぐらいだから仕方ない。

ワイングラスも持たなければならず、2人で手一杯にして運ぶ。
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